時代の変化は意味・価値の変化 それが理解できなければ次のステージには進めない

 時代の変化を感じるのは、モノ・コトの意味がそれまでとは変わり、価値が変わった時である。
 例えば、園芸の世界を見ると、昔の人は身近にある草木を楽しんでいた。盆栽やサツキなどは一部のマニアが楽しむ特別な趣味であり、品種改良や品評会に出すことが主な目的であった。
 園芸が大きく意味を変えたのは、観葉植物が「インテリアグリーン」としてインテリア=装飾というポジションに変わった時である。
 マンションの普及から洋室が増え、畳からカーペット、フローリングと室内のつくりが変わったことで、インテリアグリーン、インテリアミラー、絵画などヘアを装飾する商品のニーズが高まった。
 品種改良や品評会は特殊な一部のマニアのモノでしかないが、インテリアであれば、広く一般の人が日常生活の一部として取り込むことができる。
 ホームセンターが急激に成長し、店数を増やしたのとタイミング的にも一致している。テレビ、雑誌などで盛んに特集されたこともあって広く一般に普及していった。
 一部の人の特殊で専門的なモノから、誰でも取り入れることのできる一般的なモノに意味を変えたことが、園芸マーケットの拡大、主なチャネルであるホームセンターの拡大に大きく影響している。
 その後、いったんブームは収束するが、新たに「ガーデニング」「イングリッシュガーデン」となって、クラフト(手工芸)のポジションでブームを巻き起こす。インテリアはイミテーションでも成り立つ静止物という性格が強いが、ガーデニングは植物の特性を理解した上で、さらにさまざまな花苗、カラーリーフ、器や装飾小物を組合せて一つの形を創り上げるという点でクラフト的な要素が強い。ハンギングバスケット、コンテナガーデン、アレンジメントなど花苗やカラーリーフを使って創り上げることに大きな意味があり、中高年女性中心に支持されてブーム化した。
 現在は、そのブームも収束し、東日本大震災以降の省エネからはじまった家庭菜園が広く定着しているという状況にある。
 一時期ブームになった年末のイルミネーションと同じで、ある程度盛り上がっても行きつくところまで行くと、多くの人は疲れてしまい、高齢化と共に徐々に離れていってしまう。
 アクアリウムも同じである。金魚や錦鯉と違って、アクアリウムという名前、オシャレな曲面ガラスの水槽などが「インテリア」というポジションでとり上げられ、テレビドラマでも盛んに放映されたことから、これもまたホームセンターチャネルをベースにして広く普及していった。
 一部のマニアのものであったものが、広く一般に受け入れられる時は、特別な趣味の世界から、誰もが日常生活の中で当たり前に取り扱えるモノへと意味を変えるからマーケットは大きく拡大する。
 品種改良、品評会からインテリア、クラフトと意味を変えた園芸、品種改良、品評会からインテリアへと意味を変えたアクアリウム、...、これらは意味を変えたことで広く普及し、それに伴いチャネルも変わっている。
 時代の変化は、商品を含めたモノの意味、価値が変わることによって広く一般に普及したり、逆にブームが収束したりすることと一致する。
 sightseeingがsight doingに変われば、ただ見て歩く観光は衰退し、食べ歩き、買物ツアー、体験ツアーといったdoing要素が入らないと見向きもされなくなる。
 なぜマーケット情報が重要なのか、マーケティングが重要なのか、と考えた時、この意味の変化=時代の変化を読み取り、ビジネスのフィールドを修正したり、ビジネスモデルを修正したりすることで、次の時代へのシフトをスムースに行えるようにする必要があるからである。
 それができなければ、いつまでも もう無くなってしまった意味、過ぎ去ってしまった価値観に引きずられて縮小するマーケットを追いかけることになる。それを売れなくなったと嘆いても意味がない。マーケットが常に変化するのは当たり前のことである。
 いまの時代も、またいろいろなモノ・コトの意味が大きく変わろうとしている時代である。爆買いでさえ、物からコトへ移りはじめていると言われ、温泉に入ったり、治療や美容整形を受けに来たりというように、さまざまなサービスへと消費の方向がシフトし始めている。
 国内でも、既にカーシェア、バイクシェア、アパレルのレンタルは当たり前であり、購入し、所有するよりも必要な時に必要なものを借りて使うという消費スタイルが広く定着し始めている。
 物を所有すること(ストック)から使うこと(フロー)へと消費の意味が変わり始めていることは、大きな流通構造の変化(物の供給の仕方)=チャネルシフトが起こることを意味している。
 小売がレンタルに変われば、人口に対して同じ商品をたくさん必要としなくなる。一方、飽きないように多くの種類が必要になるから、現在よりもさらに多品種少量生産が必要になる。購入するわけではないから、商品そのものの価格は販売用よりも高額にシフトする。
 物づくりそのものに対するニーズが大きく変わることになる。
 さらにUberに象徴されるようなシェアリング・エコノミーが当り前になれば、大量の物にこだわることは、過去の遺物と言われても仕方ない状況になるだろう。
 時代の変化は、物の意味を大きく変える。それに伴いビジネスのフィールド、ビジネスモデルも変わっていかなければ、企業はいずれ自然淘汰される。
 人口が減少し、高齢化することによって消費量も減少する。さらに物消費からコト消費へと消費者の志向、ライフスタイルが変わり、シェアリング・エコノミーによって、これまでであれば何もせずにムダにしてきた能力の空き、隙間を使って新たなビジネスが生まれる。
 機械・設備など新たな物への投資がなくても稼働率を高め、生産性を高めることで新たなビジネスが生まれる。
 たくさんの物をつくり、たくさんの物を売ることでしか成り立たない構造が変わろうとしている。大量生産、大量販売に依存するビジネスモデルにこだわっていては、生き残ることは難しくなる。
 変化の方向、変化の仕方はある程度見えているから、問題はこれまで構築してきた物ベースのインフラにどのように対処するかだろう。
 いつまでも捨てられなければ、次のステップは踏み出せない。意思決定することが重要になる。そう考えると頭の切り替えが最も重要になる。


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