「いい大学を卒業すると将来、幸せになれる」と考える小・中・高校生が増加(ベネッセ教育総合研究所)という調査結果をどう考えるか。

 第5回学習基本調査(ベネッセ教育総合研究所)が公表されている。(2016年1月28日)
多岐に渡る総合的な調査結果であるが、その中のChapter 3 意識 3-4[社会観・将来観]の項のタイトル(キャプチャー?)に『「いい大学を卒業すると将来、幸せになれる」と考える小・中・高校生が増加』というのがある。
 確かにデータを見ると先回の調査(06年)から小・中・高校生とも10%以上数値が上がっており、特に小学生でその傾向が顕著である。
 大学は4年間しかないから、実は小・中・高の12年間も大学同様以上に重要なのだが、その12年間は大学に入るための準備であり、大学に入って初めてそこで成果が得られるような錯覚があるのではないかと思う。
 実際に大学と言っても就職試験などを考えれば、実質的には3年くらいしかないから、小中高の12年間と合わせた15年間を大切にするべきなのだが、小・中・高の12年間は「よい大学に入学する」という目的達成のための下積み生活、我慢の時間と位置付けられているように思えてくる。
 スポーツ科学などでも、脳・神経系の発達は幼児期が盛んであり、6歳ぐらいで成人の約90%にまで達するという。12歳くらいからは心肺などの呼吸循環機能が発達し、筋量もほぼ大人と同じになるが、骨の発育にバラツキがあるため、成長障害を起こしやすい時期だという。
 小さいからできないとか、大きくなったらもっとハードにというのではなく、発育の年齢に応じて適したトレーニングをすることが有効とされている。
 脳の発達や人格形成を考えても小・中・高と年齢に応じて良い環境で刺激を受けて育つのと、枠にはめられて育つのでは大きく違ってくるだろう。
 大学を卒業してもその後社会に出て40年以上は何らかの形で社会貢献し、収入を得ていかなければならないし、定年退職してもその後まだ15~20年は余命がある。そう考えれば、もっと社会とのつながりを想定した小・中・高・大学にしていかなければならないと思うが、実際には社会とは隔離され、教えている側・仕組を作っている側も一般的な社会経験に乏しい人達に偏っている。最近報道される多くのニュースを見れば、その内容からもムラ社会といって良いほど一般的な社会常識からは逸脱している。
 大学に入ることが目的になる教育ではなく、自分らしさを確立し、社会に出ても自分らしく生きられる知恵を身につける教育が必要だろう。
 特にこれからの時代を考えれば、人口が減少し、急激に高齢化が進んで、家族形態も単身世帯が大きく増えると予測されている。一生涯結婚しない男性が2割、女性も1割という状況にあり、これまでのような家庭環境を維持することは難しくなる。
 一方では、デジタル化とグローバル化の進展がものすごい速度で進むことが予測されるから、大学だけを目標にしてタコツボに閉じこもって12年間を過ごしてしまうのでは、その後の状況に対応できない子供ばかりが育ってしまうという懸念がある。大人になって社会に出た後を想定した教育をしないと、皆が大変になるだろう。
何か違うモノを求めて大切な時間、取り返しのつかない時間と巨額な費用を費やすことはいろいろな意味で勿体無いことであるし、個人、社会、国家など様々なレベルでも大きな損失だろう。

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