NHKの「ナビゲーション スーパー激変 変わる消費の現場」という深夜番組で総合スーパーの不振を取り上げていた。 なぜか、途中から話が食品スーパーに切り替わったが(たぶん、上手くいっているのが食品スーパーだからだろう)、企画、認識のレベルに愕然とした。 対策として出てきた事例が、商品の絞り込み50貨店、ライフスタイル型GMS、あとは安売りや接客強化の食品スーパー(何十年も前から変わらない)である。 う~ん、どこか違うのでは?????? そもそもマーケティングの基本、業態としての総合スーパー(GMS)、食品スーパー(SM)のことが分かってるの?というのが素朴な疑問である。 単純に、品揃えを絞る、増やす、品揃えの組合せを変える、高い商品を集める、安く売る、...その心は??? 解説も評価もしないで垂れ流しでは、何のための事例か分からない。 一体、小売業の経営をどう見て、どう解釈しているのだろうか?マーケットについても同様である。 世の中の変化にビジネスモデルが対応できなくなったと解説していたが、なぜ、総合スーパー(GMS)が20年間も不振から脱出できなかったと考えているのだろうか? いろいろなことが明確に整理できていないのに特集を組み、もっともらしい解説をしたNHKはいったい何を考えているのだろうか? あまりにも浅い、軽い、...。 どうせなら、20年間、マーケット環境がどのように変化し、総合スーパー(GMS)はどんな対策をし、その結果がどうであったのかという検証番組を特集した方がはるかに有効である。最もそこまで手間暇かけることができないから、あんなことになったのだろうが、もう少しどうにかならなかったのだろうか。 そもそも総合スーパー(GMS)については、不振対策のゴールをどこに置いているのか、非常に分かりにくいし、難しい。 不振の原因だけに絞れば、いたって明確である。 特にコモディティを中心とした競合激化と商圏縮小、商圏人口の減少(密度低下)・高齢化による消費の縮小、ネット通販などへのチャネルシフト、....等々、要するに、消費者にとって購買の選択肢が増える一方でマーケットは縮小し、さらにそれに対する対策として食品や実用品へ品揃えを絞り込んだことで、ますます商圏を狭くし、競争力も無くしてしまったという構造である。 良かれと思ってというよりは、それしかなくて強化した食品が結果的にますます状況を悪化させるというジレンマに陥っている。 ネックは、大きすぎる店舗、高すぎる固定費=損益分岐点であるから、多少のことではどうにもならない。ライフスタイル型の品揃え強化もよいが、東京圏を中心とした大都市にはかなわないし(しかも交通網の発達で時間的距離は縮小している)、超大型ショッピングセンター、Webにも勝てないから、はじめは珍しくても、維持発展させられるかとなるは甚だ疑問である。 要するに八方ふさがりの状況であるから、どこかで割り切る必要がある。ネックは損益構造であり、従来の衣料品や寝具・インテリア、家電など大型部門が稼ぎ出していた売上・粗利と経費の関係が戻らない限りカバーすることは不可能である。 それを埋める商品部門が見つからないから、駅前にありながら保育園などのサービス事業を入れることができない。 そんな物件が日本中に数多くあるから、修正も簡単ではない。このままいけばショッピングセンターが加わるから、その件数はさらに増えることになるだろう。 単独店舗、単独企業でどうこうできる問題ではないから、行政、住民を含めた地域として取組まないと、いまにシャッター商店街と同じような商業施設が数多く生まれることになるかもしれない。
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