アクセル、ブレーキ どちらのペダルに足を置くか?

 まだ、クルマの免許を取りたての女性社員にクルマで駅まで送ってもらったことがある。曲がりくねった山道をかなりのスピードで下っていくのは慣れない人には結構きつい。
 助手席で思わず、足を踏ん張ることもあったが、その時面白いことに気が付いた。
 私は、加速する時以外、基本的に足はブレーキペダルの上に置いているが、その話をすると、彼女は「走っている時はアクセルでしょう」と当然のことのように反論する。
 加速すれば、あとは減速か、停止するだけだから、足にとってのニュートラルの位置は常にブレーキペダル上というのが、私のやり方だが、彼女は「走っている時はアクセル」「止まる時にブレーキ」だという。
 「アクセルとブレーキを踏み間違えた」という理由で事故が多発しているが、もともと「足はいつもブレーキ上」という運転習慣が身についていれば、慌ててペダルを踏み間違えるようなこともないと思うのだが、...。
 企業経営も同じだろう。何かの状況が起こったことを認識してから、アクセルかブレーキかを判断するというのが一般的なのかも知れないが、それでは判断してから行動に移る時の選択肢の数が増え、判断するまでに要する時間も増える。
 常にブレーキ上に足があれば、選択肢は一つしかないから反応も早く、間違えることもない。
 方向転換も同じである。如何に判断と修正時間を早めるかは、常態(レギュラーな状態)をどう設定し、修正パターンをどう絞り込んでおくかにかかっている。物事を単純化しておけば、判断も修正時間もより簡単にできる。
 どうも世の中、複雑で難しいモノほど高度で、簡単、単純なものはレベルが低いというような評価をしがちであるが、実際には真逆ではないだろうか。
 複雑で難しいモノも枝葉をそぎ落として幹だけにしてみれば、いたって単純な構造しか残らない。物事に共通した本質だろう。
 常に本質だけ見ていれば、対応も単純にできる。デジタル時代はドッグイヤーよりもさらにスピードアップしている。表面的な構造ばかりに振り回されるのではなく、本質を見てスピードアップしないと取り残される。
 

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