「商品を売る」ための法則

 商品がどのように売れるのか、小売業に限らず、卸売業、メーカーなど多くの人が興味のあることだろう。
 いろいろ商品構成や売場づくりをいじっていくと、いくつかの法則(あるいは法則というまでではないが傾向)があることに気が付く。おそらく、売場で多くの経験がある人であれば、少なからず、このような法則を知っているだろうが、残念なことに個人の経験・ノウハウとしてあるだけで、人とともに売場から消え去ってしまうのが実情である。
 昔から「売場にある知識・経験・技術・ノウハウ」を大切にしてこなかった小売業の体質が、長年培ってきた財産を消失させていると言ってよいだろう。
◉食品スーパーのあるベテラン店長は、様々な実験を繰り返した結果、野菜をバラで売る時の値付けは78円が一番数量、金額とも伸び、利益も取れると教えてくれた。
◉爆発点という考え方があり、商品の陳列規模(数量や露出の仕方)を拡大していくと、一定の規模を超えた時点で飛躍的に売上が伸びると言われていた。実際に中途半端にやるよりは、ダイナミックな展開をする方がはるかに多くの売上が得られる。爆発点の手前では多少在庫を増やしても販売量が飛躍的に増えることはない。ちょっとの差が結果に大きな差となって表れる。どうせやるなら爆発点を超えた方がはるかに効率がよいし、「売った~ッ」といった感覚、「売上を上げる楽しさ、面白さ」を味わうことができる。
◉爆発点と似ているが、いろいろな実験を繰り返してみると、コモディティ商品については陳列量を増やし、フェイスを拡大すると売上は確実に伸びる。在庫数量が多いと発注精度も気にならないし、欠品を起こすリスクもなくなるから楽である。
◉比較的高額な価格帯の商品を売りたい時には、さらにその上の価格帯に「売らなくてもよい商品(見せて比較する役割を果たす)」を置くと売りたい価格帯の商品が売りやすくなる。もちろん、見せるだけのつもりの商品が売れることもあるから、。その時にはさらに上の価格帯に商品を配置する。
◉売場における商品分類は非常に重要である。ずいぶん昔の話になるが、あるホームセンターのカー用品売場でカーワックスの分類の仕方を変えたことがある。固形/半練り/液体という形態別分類を色別に直しただけだが、お客が商品を選ぶ際のやり方とマッチしたことでアイテムを全くいじらないのに売上が4割伸びた。お客が選ぶ順序に従って売場を直すことで商品が選びやすくなったことが理由だろう。それ以降、商品分類(クラシフィケーション;商品特性による分類)を修正することでいろいろな店、いろいろな商品の売上を伸ばしているから、売場づくりにとって非常に重要なキーワードということができるだろう。
◉多箇所展開が盛んに行われている業態もあるが、商品をよく見ていくと、定番売場でフェイスを広げた方がよい商品、エンドに単品大量陳列をした方がよい商品、平台に山積みにした方がよい商品、多箇所展開した方がよい商品というように、商品によって向き不向きがあることが分かる。商品特性=お客の売場での買い方を考えた上で陳列場所・方法を選ぶ必要がある。在庫管理や商品補充など売場管理のしやすさもあるが、10個、20個、...と分散させて多箇所陳列する要も一箇所に100個まとめて陳列した方が認知されやすく、売場管理も楽になり、商品回転率も上がるというケースは多い。
◉商品には、お客が価格の安さで買う商品(お客が値頃の価格を知っている)、機能・性能の良さで買う商品、イメージの良さで買う商品がある。価格で買う商品は「価格の安さ」が分かるように大量陳列、価格表示を明確にする、機能・性能の良さはPOP、動画、実演などで「良さ」が伝わるようにする、イメージの良さはカラーコントロールやディスプレーでイメージの良さが伝わるようにして売ることが大切である。しかし、多くの店でどんな商品も同じPOPを付け、同じ売場表現をしている。残念である。
基本的に、どの業態もお客の中心は女性である。女性が好む売場、表現方法と効率だけを追求した結果出来上がった売場、表現方法は根本的に違う。重要なことは効率=成果÷投入資源であるから、必ずしも全ての無駄をそぎ落として無機質な売場をつくる必要はない。
◉営業中に売場の手直しをしていると、なぜかお客が寄ってくる。それまであまり目立たなかった商品が売れることもあるから不思議である。
その不思議を不思議で済ませずに生かすことで他社と差別化を図り、売上を伸ばしてきたのがジョイフル本田、ドン・キホーテ、ビレッジバンガードなどだろう。
あるホームセンターの役員が退職前に「効率を追求し、一生懸命ローコストに取り組んできたが、結局効率の向こうに効率はなかった」としみじみと言っていたのが印象的であった。
そう考えれば、効率追求の本質を理解して取り組んだのがセブン-イレブン・ジャパンということになるのかも知れない。いろいろ後講釈を言う人は多いが、結局は儲け方を知っていたという一言に尽きるだろう。
分かるか分からないかの差は大きい。


 

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