神奈川県が、今後12年間で142校の約2割、最大30の県立高校を廃止する

 「神奈川県が、今後12年間で142校の約2割、最大で30の県立高校を廃止する」という記事が、様々なニュースで取り上げられている。
 このテーマのもとにあるのは、「県立高校改革基本計画」(平成27年1月 神奈川県教育委員会)であり、そこにはもっと色々な改革案や経緯がまとめられている。
 数値を見ると、公立中学校の卒業生が昭和63年(1988年)の12万2千人をピークに減り続け、平成41年(2029年)には6万2千人にまで減るということになる。ただし、その前に生徒数が急増することに対応するため「高校百校新設計画 昭和48~62(1973~1987年)年度の15年計画」に基づいて100校を新設し、165校としているという。
 「点」だけで物事を見ていると分からないことも、「線」として流れの中で把握すると見え方が変わってくる。
 表面的に物事を見ると「減らす」ことばかりが強調されがちだが、生徒数が増えるのに合わせて高校を増やし、生徒数が減るのに合せて高校を減らすことは、いたって常識的な対応である。
 様々なシーンで「減らす」=ネガティブ、クオリティが落ちる、....等々、多くの批判が出ることがあるが、急激な人口減少・高齢化を考えれば、これまで許されてきたようなアルベキ論、理想論ではなく、財政面を考慮した現実的な対応が必要になる。
 人口減少は、市区町村の議員定数にも影響してくる。地方自治法は、地方自治体の人口に比例する形で上限数を定めているから、人口が減少すれば、議員定数も当然減ることになる。
 ただし、アメリカとの比較から日本の議員定数の多さは随分以前から指摘されているが、ドラスチックにメスが入ったことは未だ一度もない。
 身の回りにある多くの物事に対して、人口が減ったらそれに合わせていけばよい、高齢化すれば、その時点でそれに合わせていけばよい、といったその場対応的な対処の仕方が多いが、既にそのような対応では間に合わない事柄も増えている。
 2015年から2025年までの10年間、団塊の世代500万人が70歳台に入り、75歳の健康寿命を迎える。
 2018年からは1年間の人口減少幅が50万人を超え、2024年からは毎年70万人超、2028年からは80万人超、2033年からは90万人超、そして2041年からは毎年100万人超の人口減少が30年以上に渡って続くという推計結果がある。
 少なくとも総人口、年齢構成、経済状況、社会保障など、様々な物事が現状維持であれば、現在の状況を続けることも可能だろうが、推計値を見れば明らかに先細りであり、しかも毎年一つの県に相当する人口が減少するとなると、ただ事ではない。我々の想像をはるかに超えた事態が起こると考えて不思議はないだろう。
 人口が増え続け、1億2千万人を超えて増えていく時と、1億人を割り込んで、8000万人、6000万人、....と人口が急激に減少していく時に同じシステムで対応できるとは到底思えない。
 いつまでも「点」を追い続けていくのではなく、もっと広い視点から流れを見た上で、次の時代に対応可能なシステムへ移行しないと、後追いばかりで変化のスピードにはついていけない。
 東急不動産ホールディングスの新中長期経営計画を見ると面白い。10年単位で先のことを考えながら攻めていることもよくわかるし、セグメント(事業)ごとにどこに力を入れていこうとしているのかを見ていくと、時代の流れをどのように読んでいるのかがよく分かる。
 2013年に対し、2016年の営業利益を柱である都市事業は319億円から415億円と約3割アップ、事業創造その他事業は-13億円から一気に60億円としているのに対し、住宅事業は116億円から55億円と半分以下でしか見ていない。(新中長期経営計画 Value Frontier 2020)
 人口が減り、「住宅」需要がなくなることを見越して、全く異なる分野へと舵を切っていることが分かる。東急電鉄(沿線人口のピークは2025年)のたまプラーザテラス、二子多摩川ライズ、渋谷ヒカリエ+渋谷駅周辺の大改修とともに見ている方向は明らかに違っている。
 一般消費者の「住む」「暮らす」「日常」といったマーケットの中で伸びる可能性がある思えるのはウェルネス事業だけであり、他は人が集まる都市部における事業が中心になる。
 何年か経った時に公立高校がどのような姿になっているの想像もつかないが、あれだけ郊外に出ていった大学が都心に戻り、高層ビルに近代的な設備を備えていることを見れば、ある程度方向は想像がつく。
 私立高校が私立大学と同じような動きになれば、公立高校はさらに苦しくなるのかも知れない。
 現状を前提にして発想しているだけでは分からないことは多い。分からない人ばかり集まって物事が決まっていくことは、それはそれで恐ろしいことだが、中にいればそれが見えないから、怖さも分からない。
 高校に限らず、多くの分野で起こることである。

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