住居・余暇関連 新たなマーケット開発

 人口減少・高齢化は、消費構造を大きく変える。
 高齢者夫婦のみ世帯・高齢者単身世帯の増加は、電球は買えても独りでは換えられない世帯、食材は買えても調理しない世帯、洗剤は買えても家事をしない世帯など、消費サイクルを独りで完結できない世帯の増加を意味する。このようなマーケットニーズの変化は、単なる物売り業を排除し、サービス型小売業、あるいは小売機能付きサービス業の需要を高める。
 かつてホームセンターのカー用品売場からピット併設型のカー用品専門店へマーケットが大きくシフトしたことがある。必要な商品を買い集め、自分で洗車やワイパー交換、オイル交換までやっていた人達は減少し、クルマのケアはディーラー、ガソリンスタンド、ピット併設のカー用品専門店に全て任せるというように消費の仕方が変化した。
 いま、それと同じ変化が生活の様々な場面で起きようとしている。
 例えば、高齢化に伴いサービス付き高齢者住宅に移り住む人が増えると、そこで食事や身の回りのサービスを受けるように変わる。個々の消費者が様々な商品を直接小売店から買う必要がなくなると、それまで買っていた多くの消費財はサービス付き高齢者住宅を運営する企業が生産財として別のチャネルから仕入れるように変わる。
 商圏人口が変わらなくても小売マーケットが縮小する構造的変化である。
 カー用品がホームセンターからカーピットへ移ったことを考えれば、住関連の新たなマーケットは、家事周辺分野をサービスとして提供するビジネスへシフトすると考えるのが普通だろう。
 実用的な生活関連商品が一部でもサービスマーケット―シフトすれば、影響を受ける業態、店舗は多い。
 その時には、QOL(Quality of Life)を高めるような住環境、生活環境を高めるような新たなマーケットを開拓するしかない。健康や余暇関連分野は、その一環として位置づけられ、マーケットの深耕が盛んに行われるだろう。
 立地によっては、インバウンド関連の商品・サービスも考えられるが、すでにリピーターは典型的な観光地での観光(大量・爆買い)から、地方の日常的な生活に触れることができる体験型(地方固有)へとシフトしている。
 新たにKitchHike(https://ja.kitchhike.com/)のようなビジネスモデルが出てきたことを考えても、マスコミベースの観光からミニコミ、あるいはSNSベースの「私だけの...」「ここだけの...」といった情報がつくり出すマッチング、固有の体験が新しいビジネスのキーワードになっていくだろう。
 ある意味、趣味の商品分野が消費者の習熟によって変遷していくのと同じような変化をすると考えられる。
 アクアリウム、ガーデニングなど「限られた人のマニアックな趣味=狭く深く」➡「一般に広がりマス化=広く浅く」➡「習熟し、細分化・専門化して個々の分野は小さく分化(広く浅く➡狭く深く)」という変化の仕方である。
 マーケットを読み違えると、後々修正することは難しくなる。
 確かなことは、従来のように「大量販売=大型店、大量在庫、大量販売...」で成り立つケースは確実に減ってくるということだろう。損益分岐点を下げ、小さな収益を確実に積み上げるか、原価率の極端に低いビジネスを確実に積み上げるようにするしかない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください