アパレル 新たなマーケット開発

 人口が減少し、高齢化することで、様々な商品のマーケットは縮小する。衣料品の家計支出はピークである50歳台(平成19年約16千円)から60歳台、70歳台(同約8千円)と世帯主の年齢が上がるにつれてほぼ半減するから、高齢化によるマーケットへの影響は大きい。
 商品が売れなくなるメカニズムが理解できないと「売れなければもっと安くして売ろう」「安い商品も売り飽きたから、そろそろ高い商品に切り替えてみよう」といった短絡的な発想で対処しがちになる。
 人口が減って商品が売れなくなることは何となく理解できるが、「高齢化」による消費構造の変化(量的質的)はなかなか理解しにくい。なぜそうなるのか、数値と合わせてライフスタイル変化、価値観の変化を理解する必要がある。 
 まず第一に考えられるのは、高齢化することで職場から離れ、定型的に出かける機会がなくなることである。
 出かける機会がなければ、着るものも数多く必要としない。言い方をかえれば定型的に出かける機会、出かける用事、出かけるところをつくるだけでも、衣料品への出費は確実に増えるはずである。
 背景を考えずにただ物だけを売っていると、このようなライフステージ・ライフスタイルと商品購買のメカニズムが理解できない。間接的に仕掛けるという発想を持ち合わせなければ、限られた範囲でしか対応できない。
 ライフスタイルの変化を見れば、まだ消費者のニーズがありながら、マーケットとしてキチンと形成されていない分野があることも分かるはずである。
 例えば、観光業ではsightseeingではなく、sight doing といわれて久しいが、物販の世界でも徐々に体験型、参加型消費が普及し始めている。
 休日に満杯になるバーベキュースペースなどが典型であるが、レストランで食事をするのではなく、自分たちで調理をすることを楽しみながら時間を過ごす。手間や費用、食事としての出来栄えを考えればレストランで食事をする方がずっと美味しいし、楽なはずであるが、目的・意味が違うから、食事としてのコストパフォーマンスを比較しても理解できない。
 参加型、体験型の分野で大きなマーケットを形成する可能性が高いのはコスプレやヒップホップダンスのユニフォームなど幅広い分野が考えられる。海外まで含めれば対象は限りなく広く、しかも進化・深化する。コスプレはよりマニアックになり、凝ったものを要求するように変わるし、ヒップホップダンスの衣装はイベントの度に毎回変わるだろうから、一度で終わるようなことはない。
 また、高齢化に伴い、還暦を機に改めて同総会を開くなど、学校時代の同窓生やクラブOBが集まる機会なども確実に増えている。記念のTシャツやトレーナーをつくるケースも考えられるから、そのような意味では、広くユニフォーム、あるいは自分達専用衣装という分野が一つのマーケットを確立する可能性が高い。当然、レンタルや中古マーケットの形成も考えられるから、一つのマーケットから派生する分野は様々である。
 友達や親子孫3代でのペアルックが注目されているというが、少子化で希少性が増した子や孫、あるいは孫以上とも言われるペットとのペアルックも可能性としてはある。
 ポイントは、自分たちで企画・デザインする、あるいは自分達でつくることに参加、体験することであるから、単に物を作って店頭に並べ、価格を付けて販売しても意味が違うから売れないだろう。筆者はABCクッキングスタジオのアパレル版が出てくるのも時間の問題と考えているが、どうだろうか。
 いずれにせよ、そのようなことができる「場」、集まれる「場」づくりから始めて、マーケットを創出するなど、手間のかかることはやりたくない、即物的に売上が欲しいという企業には向かないが、消費者の志向は確実に変わっており、しかもひとたびWebで拡散すれば、すぐに多くの人達に伝播する。
 そのようなマーケットにどう対処するかで、将来が決まるように思う。。
 
 
 

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