将来の推計人口について、いろいろな分析を繰り返してきたが、ここへ来てやっと一つの法則が見えてきた。(詳細は一般社団法人公開経営指導協会会報「公開経営」9月号に掲載)
詳細は省くが、一般に理解されているような「現在、人口の多い大都市は将来も人口の減り方が少なく、人口の少ない小さな都市は人口の減り方が大きい」というのは、半分は合っているが、半分は違っている。実際に2015年30万人を超える秋田市、旭川市は2025年総人口指数(2010年=100)は88.2と90を切るのに対し、三重県の朝日町は11千人規模なのに116.5、埼玉県滑川町も18千人規模なのに111.8と二桁伸びると推計されている。
いろいろな指標を使って様々な角度から検討した結果、分かったのは、2015年の65歳以上人口率(総人口に対する老年人口の比率)が20%前半まで、かつ2025年25%以下、2035年30%未満と推計されている都市は、現在の人口規模に関係なく、2025年、あるいは2035年の総人口指数(2010年=100)がほぼ100を超えると推計されている。つまり、これらの条件に該当する都市は、人口規模に関係なく2010年よりも人口が増えるということになる。
大都市を除いてこの条件をクリアし、2025年総人口指数が100を超える都市は、30~35万人17都市中6都市、25~30万人31都市中6都市、20~25万人53都市中23都市、15~20万人76都市中19都市、10~15万人138都市中25都市、5~10万人280都市中25都市、3~5万人236都市中28都市、1~3万人435都市中24都市、1万人以下477都市中9都市である。
総人口が減るにしたがって、確率は減るが、1万人以下の規模でも川北町、舟橋村、宜野座村、御蔵島村、日吉津村など、確実に人口が増えると推計されている都市はある。
重要なことは、このように人口が増えると推計されている都市を如何に大事に育てるかであり、そのノウハウをその次に位置する都市にどのように波及させるかである。
小売業にとって重要になるのは、まず自分が店舗展開する市区町村の2015年65歳以上人口率を調べることである。この数値が前述の範囲にあれば、その都市は人口が増えるし、すでに2015年時点で30%を超えるようであれば、確実に30%台後半から40%へ向かうだけでなく、総人口指数も80台、70台、60台と減っていく。
店舗立地に対して、撤退するのか、地域と協力していくのか、早急に意思決定する必要がある。立ち位置を明確にせず、現状のままズルズルいくことだけは避けるべきだろう。
経営者が考える必要があるのは、いま30歳のスタッフは無事に定年を迎えることができるのか、また、今年入った新入社員は無事に定年を迎えることができるのか、ということである。
現在から将来を見るのではなく、将来から逆算していま何をするべきかを明確にする必要がある。
2020年東京オリンピックを考えても、2025年までの10年間はアッという間に過ぎるだろう。ただし、現在65歳にのった団塊の世代が75歳=健康寿命を迎えるのも2025年である。その後、5~10年、長くても20年で寿命を迎え、日本にとっての大きな一つの時代が終わる。
都市を見分けることで、やらなければならないことが明らかになるはずである。
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