日本で一番大きな市 横浜の人口減少・高齢化と小売店舗のリスク

 2025年までの10年間は、マーケットが短期的に大きく変わる重要な時期と考えるべきである。5年後の東京オリンピックを境にして、その前後では多くのモノ・コトの意味が大きく変わる。宴への備えと同時に「宴の後」にどう対処するか・できるかが大きな課題になる。
 また、この10年は65歳を超えた団塊の世代が70歳代に入り、75歳以上になっていく時期でもある。これもまた、違った意味で人口ボーナスという「宴の後」が問われることになる。
◆横浜市
 2015年4月1日推計の横浜市人口は3,712,170人、世帯数1,638,946、世帯人員2.26人/世帯であり、全国一人口が多い。
 人口増減は2011年2,218人(自然増減2,808人、社会増減▲590人)、2012年5,795人(同2,460人、同3,335人)、2013年6,223人(同1,535人、同4,688人)、2014年8,192人(同613人、同7,360人)と年々拡大傾向にあるが、内訳を見こると自然増が減少傾向にあり、社会増のウエイトが高まっている。
①将来の人口推計(日本の地域別将来推計人口平成25年3月推計)
 総人口は2010年3,688,773人(100.0)を基準として5年ごとの推移を見ると2015年3,750,938人(101.7)、2020年3,750,511人(101.7)、2025年3,713,787人(100.7)、2030年3,650,671人(99.0)、2035年3,566,897人(96.7)、2040年3,466,837人(94.0)であり、2015年から2020年をピークとして徐々に減少する。
②年齢4区分人口推計(年少、生産年齢、65歳以上、75歳以上(再掲))
 2010年から5年ごとに年齢4区分を見ると、年少人口487,302人(100.0)、469,604人(96.4)、438,075人(89.9)、400,935人(82.3)、366,138人(75.1)、347,102人(71.2)、334,733人(68.7)、生産年齢人口2,460,258人(100.0)、2,381,416人(96.8)、2,336,879人(95.0)、2,299,181人(93.5)、2,212,766人(89.9)、2,066,230人(84.0)、1,893,895人(77.0)、65歳以上人口741,214人(100.0)、899,918人(121.4)、975,557人(131.6)、1,013,671人(136.8)、1,071,767人(144.6)、1,153,565人(155.6)、1,238,209人(167.1)、75歳以上人口(再掲)327,737人(100.0)、427555人(130.5)、522,563人(159.4)、619,687人(189.1)、650,430人(198.5)、654,203人(199.6)、686,243人(209.4)であり、年少人口の減少が大きく、それに伴って生産年齢人口の減少幅も大きくなる。
◆世帯数、家族類型別世帯数の推計
 平成22年(2010年)国勢調査を基に横浜市が独自に推計した値では世帯数は2025年から2030年にピークを迎え、その後減少する。家族類型別世帯数では、夫婦と子供からなる世帯が大きく減少し(2010年対比2015年▲11千世帯、2020年▲23千世帯、2025年▲37千世帯、2030年▲53千世帯、2035年▲69千世帯)、その他も減少する。大きく増えるのは、夫婦のみの世帯(同+27千世帯、+45千世帯、+58千世帯、+69千世帯、+79千世帯)、単独世帯(同+23千世帯、+44千世帯、+60千世帯、+66千世帯、+63千世帯)であり、男親・女親に限らず片親と子供からなる世帯も増加する。
 家族類型は世帯収入、消費支出に大きく関係しており、家族類型別世帯数の構成比変化は、人口の年齢構成とともに消費構造の変化に直結する重要な要素である。
◆小売売上高
 第93回横浜市統計書によると、横浜市の平成19年小売業年間商品販売額は371,941,019万円、売場面積2,881,304㎡(同14年361,806,577万円、2,756,641㎡ 「横浜市の商業」 行政運営調整局)、大型小売店130,487,939万円(同14年117,481,673万円、1,186,244㎡、店舗数220 「大型小売店統計調査結果報告」 神奈川県 統計センター)である。⋆平成19年前後に都筑区港北ニュータウン中心に多くのショッピングセンターが開業している。
大型小売店は平成19年店舗数239、売場面積1,312,882㎡から平成25年同258、同1,338,897㎡(対19年比101.98%)と増えていながら年間商品販売額は118,438,415万円(対19年比90.77%)と大きく減少している。(単位面積当り対19年比89.00%)
市の経済計算、市内総生産、民間最終消費支出、家計最終消費支出を見ても平成19年と平成24年で比べると名目、実質とも減少しているから、人口が増えているにもかかわらず、消費支出は全体的に減少傾向にある。
大型小売店を見ると伸びているのは食料品だけである。衣料品、住用品、食堂・喫茶など全般に減少傾向にあり、特に衣料品が3割近い落ち込みとなっている。しかし、多くのショッピングセンターは衣料品中心のテナント構成である。
高齢化によって減少が顕著になる費目が外食や被服及び履物などであること、昼夜間人口比率は西区179.7、中区166.6を除けば90.0以下が18区中11区あることなどを考えると、多くの区で売上が難しくなる可能性が高い。(平成22年10月1日 出典;横浜市政策局統計課)
◆将来のマーケットに影響すると考えられる人口要因
①総人口;総人口は図表1のように2010年を100.0として、2015年~2020年は101.7と微増、その後2025年100.7、2030年99.0、2035年96.7、2040年94.0と減少する。大きく減少が始まるのは2035年以降であるから、年間商品販売額の減少傾向に人口減少の影響が加わるまでには15年ほどの猶予がある。現状で手元にある平成19年(2007年)年間商品販売額37,000億円をベースに人口と年間商品販売額が比例すると考えると、2030年▲370億円、2035年▲1220億円、2040年▲2220億円の減少が考えられる。
②年齢構成;年齢構成の変化には団塊の世代が大きくかかわっている。団塊の世代が65歳以上になった2010年から2015年に65歳以上構成比が3.9%増え、それ以降は2.0%、1.3%と減少して、その後また2.1%、2.9%、3.4%と増えはじめる。75歳以上人口は2010年から2015年2.5%、2020年2.5%、2025年2.8%と増えるが、その後は1.1%、0.5%、1.5%とある程度減少して推移する。生産年齢人口の構成比が大きく下がるのは2030年➡2035年2.7%からである。年少人口は分母が小さいこともあり、2030年まで1%弱とほぼ同じような比率で減少し、その後収束していく。
◆1か月平均の消費支出については、以下のようである。(2014年家計調査)
●過去のデータから、2人以上世帯では、世帯主の年齢が50~59歳、60~69歳、70歳以上と10歳上がるごとに消費支出が約5万円ずつ減少する。また、単独世帯162千円は2人以上世帯291千円より消費支出が約13万円少なく、35~59歳(182千円)から60歳以上(151千円) (65歳以上148千円) になると約3万円減少する。
●全国の大都市(東京都区部含む)52の中では、300千円を超える都市が19あり、横浜市298千円は千葉市299千円に次ぐ21番目に位置する。
●2人以上の世帯のうち勤労者世帯について2004~2014年までの実支出、消費支出の推移を見ると、ほとんどの費目で減少している。特に増加が目立つのは非消費支出であり、光熱・水道、交通・通信など物消費以外だけが増加傾向にある。
③家族類型別世帯数(第3-6表 世帯類型別1世帯当たり1か月間の収入と支出2014年平均 2人以上世帯)では、2人以上の世帯平均291千円、夫婦のみ世帯269千円、夫婦のみ世帯または夫婦と未婚の子供要る世帯294千円、片親と未婚の子からなる世帯209千円、両親と子供夫婦または未婚の孫からなる世帯355千円などであり、前述の単独世帯162千円と合わせて考えると、家族類型別の世帯数構成が変わることで消費全体が大きく変わることが分かる。
1世帯当たり1か月の支出が1万円減少すると、年間12万円、1万世帯で12億円になる。20~30年間の変化ではあるが、1~8万世帯の変化があり、消費支出合計では、月間最大で10万円以上の差があるので、軽く数百億円の変化は想定する必要がある。
 1か所に集中して起こることはないとしても、限定された地域での影響は必ずしも軽微なものではないだろう。
 家族類型は、世帯人員や有業人員、世帯収入とも関係するため、消費支出の低い世帯数が増えることで、確実に客単価は下がる。高齢化することで交通手段を持たなければ、商圏は狭まり、購買頻度が低下するだけではなく、買上点数=客単価も低下する。
 ここでは年齢を考慮していないが、増加する単独世帯では、特に穀類、生鮮食品などへの支出が少なく、調理食品、飲料、種類などのウエイトが高い。また、外食のウエイトが高いなどの傾向も顕著である。
 一方、片親と未婚の子からなる世帯、夫婦のみ世帯では世帯人員が少ないこともあるが、食料全般、被服及び履物などの支出額は少なめである。
 ただし、一人当たり金額を算出してみると最も世帯支出の高い「両親と子供」、または「未婚の孫からなる世帯」がほとんどの費目で最少であり、逆に「単独世帯」が最大となる。
 高齢化すると、また傾向は変わるから、年齢階級別まで落し込んで考慮する必要がある。
 また、区ごとの人口減少率や高齢化の度合いの差が大きいので、業態別店舗の状況などと比較して、今後リスクが大きくなる地域を特定することは必要である。
 区レベルで見ると、人口減少率が大きいのは、南区、保土ヶ谷区、磯子区、金沢区、港南区、旭区、瀬谷区、栄区の8区、総人口に占める65歳以上人口の割合は南区を除くこれらの区は全般的に高い(泉区が加わる)。実際には町丁目レベルで把握する必要がある。

 

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