商品を科学する-② 商品の持つ特性による整理

◆商品のもつ特性による分類
 商品には、さまざまな特性がある。商品特性とお客のニーズ、あるいは購買動機などとの関係を整理することができれば、どのようなお客(性別、年齢、職業など)に、どのような商品を提案すればよいのか、ということも分かりやすい。
 商品のもつ特性は様々であり、それらは次のように整理することができる。
①衣食住余
a.衣料品
 衣料品は、着るもの全般が対象であり、品種(アイテム)、デザイン、素材、色・柄、サイズ、ブランドなどの他、用途・機能、対象(性別・年齢)などの特性がある。全体的には、どんなに消費者ニーズが多様化したと言っても、ひとたびデザイン、素材、色・柄、ブランドなどのブームが起これば、多くの人が似たような商品を買い求める傾向にある。
b.食品
 生鮮食品、米、パン、日配商品、惣菜、一般食品、菓子、飲料、酒類など飲食全般である。購買頻度が高く、旬、鮮度、味、産地などが重要となる。
 管理面での大きな特徴として、賞味期限などの日付管理、生鮮食品・日配食品・冷凍食品などの温湿度管理などがある。
 健康に対する意識の高まり、テレビ・雑誌などマスコミの影響力によって、「血液をサラサラにする」「血圧を下げる」食品として紹介されると、一気に商品の意味が変わり、売上が大きく変わる。「身体に良い」という情報が食材選択に大きな影響を持つようになっている。
 生活習慣病の一因でもあり、同時に生活習慣病改善のための有効な手段でもある食品は、高齢化と健康に対する意識の高まりから、大きく意味を変える可能性を秘めた商品である。
c. 住(生活)関連商品・余暇関連商品
 経済的に豊かになるにしたがって、食品からスタートしたマーケットは衣料品に移行し、さらに住(生活)関連商品・余暇関連商品へと広がりを見せていると言えるだろう。
 ノンフーズという曖昧な位置づけから、「生活・余暇関連」へと概念を広げ、現在では、H&BC(Health and Beauty Care;美容と健康)分野もマーケットが大きく広がっている。
 カーテン、カーペットなどのインテリア用品、収納用品、家具、家電製品の他、生活をする上で必要となる寝具、調理・掃除・洗濯などの家事関連用品、浴用品、トイレ用品、衛生用品、文具など学用品、玩具・ホビー、ペット用品、園芸・ガーデニング用品、DIY用品、防犯・安全用品、防災用品、介護用品、カー用品、レジャー用品、スポーツ用品、健康器具、書籍、CD・DVDなどのAVソフト、ゲームソフトなど実に幅広いジャンルを網羅している。
 新しい概念・分野が生まれる可能性の高い分野であり、「衣料品、食品を含む生活・余暇・美容・健康・エイジング・情報通信・オフィス全般」というように、消費者を取り巻くあらゆる分野へと概念が広がっている。
 住(生活)関連商品の場合、その性格から機能(どのような働きをするか)、用途(どのような使い方をするか)という商品特性に特徴があるが、最近では情緒的な要素(ブランド・デザイン・色・素材など)のウエイトも高まり、より複雑化する傾向にある。

② 年間商品/季節商品
 年間商品は、1年を通して安定して売れるので売上のベースをつくる商品、季節商品は短期的に集中して売れるが、天候(冷夏・暖冬など)などに左右されやすいので、季節に応じて売上を上乗せする商品と位置づけることができる。
 この2つをうまく組み合わせて使うことで効果的に売上をつくることができる。
a. 年間商品
 身近にある商品を見回しただけでも肌着・靴下、調味料、スナック菓子、カップ麺、ティッシュペーパー、食器洗剤など数多くの年間商品がある。これらの商品について1年52週間の売上推移を整理してみるとチラシや季節、気候による売上の変化を見ることができる。以前、日用品を調べた時には、どんなに年間変動の少ないと言われる商品でも、週間販売数量の最大値と最小値の差は2倍以上ある。状況に応じて変動のあることを前提にして取扱う必要がある。
b. 季節商品
 衣料品では夏の水着や冬のコート類、食品では季節の果物、竹の子、タラの芽など旬の食材、鍋物商材、クリスマスケーキなど、住(生活)関連商品では殺虫剤、花粉症関連商品、入園入学用品、クリスマス用品、冷暖房用などが季節商品に位置づけられる。
 中には、品種改良、温室栽培などによって年間供給されるようになった野菜・果物、ライフスタイルや住環境の変化によって年間消費するようになったアイスクリーム、暖房の普及により年間を通して売れるようになった殺虫剤のように、季節商品であったものが徐々に環境が変わり、年間商品として定着していく商品も増えている。
③ 耐久品/消耗品
 耐久品、消耗品という分け方は購買頻度や買上点数を考える上で重要である。
 一度買うと、長年使える商品であれば買い替えが起こるまで次の商品を買うことはない。一方、買ってもすぐに、あるいは一定期間経てばなくなってしまう商品は、すぐにまた次の商品を買う必要がある。この違いは購買頻度=客数や買上点数、あるいは単価、販売する際の接客の要・不要などと密接に関係する。どちらを中心に扱うかによって商売の形態は大きく変わる。
a.耐久品(耐久消費財)
 テレビ、洗濯機、冷蔵庫など、比較的高額であり、長期間使う商品であるため、商品購入に当たっては、機能・性能・操作性など、十分な理解と納得が重要な意味を持つ。万が一納得しない商品を購入してしまった場合には、不満を抱えながら長年使い続けるか、費用を無駄にしても新たに商品を買い替える必要がある。しかも廃棄時には新たにコストも発生するから、商品購入にも大きなリスクが発生する。したがって、商品決定までに十分な時間をかけ、納得した上で商品を決定する必要がある。
b. 消耗品
 洗剤、ティッシュペーパーなどの商品である。購買頻度、量とも多いため、よりよい商品をより安くというのが基本になる。メーカー、ブランドによる商品格差が少ない、あるいは分かりにくいため、チラシ掲載、価格訴求、 陳列・演出・POPなどの売場づくり、売り方が購入商品決定に大きく影響する。

④最寄り品/買い回り品
 最寄り品は「消費者が品質・価格をあまり比較検討せず、もよりの店で買うことが多い日用必需品などの商品。(広辞苑)」、買い回り品は「呉服・耐久消費財のように、品質・価格などを顧客が十分に比較検討して買い求める商品。(広辞苑)」と説明されている。
 ただし、最寄り品、買い回り品という言葉が成り立ったのは、はるか昔の店も商品も少ない時代のことであり、現在のように店も商品も情報も溢れる時代には、実態にそぐわなくなっている(というのが、一般的な解釈である)。

⑤実用品/嗜好品
 実用品、嗜好品という言い方も最寄り品、買い回り品と同様に現状でには、微妙なとらえ方である。
 どちらかというと実用品という言葉には「実際に役に立つことが重要で、デザインや色など商品としての他の要素は二の次」といったニュアンスがあり、嗜好品には「栄養摂取を目的とせず、香味や刺激を得るための飲食物。酒・茶・コーヒー・タバコの類。(広辞苑)」というように本来の目的とは異なる意味合いで摂取される飲食物という意味で用いられる。
 従来の対立概念から、両方の要素が融合した商品へとお客の志向も商品づくりも変わっており、実用的でありながら嗜好性のある商品、嗜好品でありながら実用的な側面を併せ持つ商品というのが、「新しい商品に対する考え方」である。
 「実用品は、皆が買うからたくさん売れる」「嗜好品は限られた人しか買わないからあまり売れない」という考え方も、使用頻度や対象(それを使う人)・用途の広さというとらえ方に変得る必要がある。

⑥NB(National Brand)商品/PB(Private ブランド)商品
ブランド(Brand)は、もともと製造元、所有者、品質・等級などを表わす焼印、刻印を意味する言葉であり、そこから派生して、商標などブランドと呼ぶようになっている。
a. NB(National Brand; ナショナル ブランド)商品 
 有名メーカーが全国的に統一のブランド名で販売し、消費者にもよく認知され、信頼されている商品である。多くの場合、販売価格、あるいは卸価格に一定の枠組みを設けており、小売段階で自由に販売価格を設定することが難しい。安い価格で販売すれば確実に売上が見込めるため、確実に集客でき、しかも売上が見込める数少ない商品としてチラシに多用される。ただし、NB商品をチラシに多用すれば売上は見込めるが、荒利率が低下するというジレンマがあり、多くの小売業がPB商品のウエイトを高めるきっかけともなっている。
b. PB(Private Brand;プライベート ブランド)商品
 小売業などが自社で企画・製造し、自社名で販売する商品であり、そのメリットは、次のように整理することができる。
イ.商品の企画が自由にできるので、他社では扱えない独自の商品をつくることができる。素材、色、デザイン、構造、機能、製造方法などを独自のものにすることで、他よりも優れた商品や他よりもコストの安い商品をつくることができる。
ロ.中間マージンが省けるので、商品原価が下がり、値入率を高く設定することができる。また、自社独自の商品のため、価格を横並びで比較されることもなく、原価についても他からは分かりにくい。価格設定=値入設定が比較的自由になる。
ハ.無印良品が、もともと西友のPB商品からスタートしているように、PB商品をうまく用いることで自社独自のアイデンティティ(自分らしさ)をつくりだすことができ、価格とは全く異なる方法で他社との差別化を図ることができる。

⑦プロパー商品/特売商品/チラシ掲載商品   定番商品/スポット商品
 売場で扱う商品には、さまざまなタイプのものがあるが、それらの商品に対する呼称や扱い方は個々の企業によってマチマチである。
 商品を「取扱い方」によって体系的に整理すると次のようになる。
a. プロパー商品
プロパー(proper)という言葉には、もともと『…が正しい、正当である、正規の、正式の』という意味があり、プロパー商品は『正規の価格で販売している商品』、特売商品に対して価格を下げていない『通常価格の商品(普通品などとも言う)』という意味で使われる。
 商品は、大きくプロパー商品と特売商品という2つに分けることができる。
 プロパー商品は、売場イメージや業績を決める骨格とも言える商品であり、通常、売場面積・在庫金額・売上高の80%以上、荒利額ではそれ以上を占める最も重要な商品である。
 よく売上が低迷すると、チラシや特売商品によって売上の回復を図ろうとするが、プロパー比率が80%以上あることを考えると、改善する必要があるのは、プロパー商品の内容・在庫の持ち方、売場づくり、売り方などであり、特売ではどんなに頑張っても抜本的な対策にはならない。。
b. 特売商品
 価格訴求によって売場にアクセントをつけ、お客の購買意欲を刺激する商品である。中には原価割れをしてまでも強烈な価格を打ち出すことがあるが、一方ではプロパー商品よりも高い値入率の場合もあり、実にさまざまである。
特売商品の主な役割を整理すると次のようになる。
イ.集客アップ。ただし、現状ではよほどのことがない限り、特売商品だけで集客を維持することは難しくなっている。
ロ.衝動買いによる買上点数アップ。ただし、単価の低下を招いたり、プロパー商品の売り上げ低下を招くなどのデメリットもある。
ハ.「得な買い物をした」「よい買い物をした」とお客に満足してもらうことで、買い物の楽しみを知ってもらうと同時にまた買いに来てもらえるような体験をしてもらう。その場の売上も重要だが、次へつなげることも重要である。
c. チラシ掲載商品
 チラシ掲載商品=特売商品と思いがちだが、新商品・話題商品・季節商品・改装後の新規取扱商品・イメージづくりのための商品などプロパー商品もチラシ掲載の対象である。
d. 定番商品
 定番商品は、商品アイテム、フェイシングなどを固定して継続的に扱う商品である。
プロパー商品の中心を成し、売場を構成する商品の中で最も重要な商品である。定番商品が決まることで自動的に部門の売上金額、在庫金額、荒利率、商品回転率などの大枠が決まる。
 定番商品はアイテム単位で追加発注し、常に在庫を一定水準で安定させることができる。また、チラシ掲載、商品入れ替え以外では値下げが発生することも少なく、荒利率も計算しやすい。したがって、定番比率が高く、定番管理がしっかりしているほど売場の商品ロスが少なく、荒利率、商品回転率など効率を表す数値が高くなる。
e. スポット商品
 スポット商品は、一定のアソートメント(商品の組合せ)で投入し、基本的に追加発注をしない商品である。スポット商品を多用すると、残った在庫が偏り、売上の低下を招いたり、不良在庫の処分のために値下げが増えたりするので、使い方に注意する必要がある。

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