いろいろな手法、アプローチ

◆分析的アプローチ、設計的アプローチ、創造的アプローチ
①分析的アプローチ
 分析的アプローチとは、物事を細かく分析することによって、その詳細の中から問題点を発見し、改善していくというアプローチである。
そもそも分析とは、「ある物事を分解して、それを成立させている成分・要素・側面を明らかにすること」「概念の内容を構成する諸徴表を各個に分けて明らかにすること」「証明すべき命題から、それを成立させる条件へつぎつぎに遡ってゆく証明の仕方」(広辞苑)というものであり、あくまでも細かく分けることである。
 したがって、必ずどこかでは、細かく分けたものをもう一度組立て直していく「総合」という作業が必要になる。つまり、分析はあくまでも分析であって、それだけで物事は完結しないと言うことになる。それを忘れると、中途半端で、細かいだけの訳の分からないものが出来上がる。
②設計的アプローチ
 分析的アプローチに対して、設計的アプローチというものがある。設計的アプローチでは、理想とする姿を目的的、あるいは、機能的に論理を積重ねることで創り上げていく。
 例えば、スーパーマーケットであれば、生鮮食品があり、日配商品、惣菜、菓子、乾物、調味料、一般食品、ソフト・ドリンク、雑貨、という具合に、すでに店舗のイメージは出来上がっている。しかし、既存のスーパーマーケットという概念から離れて目的的に作り上げて行くと、必ずしも現状のスーパーマーケットと同じものができるとは限らない。
 例えば現状のスーパーマーケットは必需品・実用品ばかりの品揃えで全く楽しくない。買物をしていてワクワクするような要素が全くない。そこで設計段階で「ワクワクする」「楽しめる」「自分でもできる(doing)」「(料理などが)習える」と言うような要素を加えて設計してみる。
 それぞれのキーワードに対して具体的な商品、売り方、販促、什器、レイアウト、イベント、サービスなどをリストアップし、全体を組立ててみる。
 東急ハンズの食品版のような店ができるかもしれないし、エンターテイメント+食品・食材+レストラン+インターネット+文化センターのような全く今までの概念とは異なる新しい店舗ができるかもしれない。
 分析的アプローチは、細かく分けていった中からおかしな点を見つけて改善するため、部分的な改善が中心であり、本質的な点までは変えにくい。
 それに対し、設計的アプローチは、今までの方法にこだわることなく、あくまでも抽象化して目的的に達成手段を組立てていくので、本質的な改善が可能なアプローチと言うことができる。
 理想とする姿を明確にした上で現状とのギャップを明らかにし、そのギャップを埋めること=解消することで現状を飛躍的に改善していくのが設計的アプローチである。
③創造的アプローチ
 分析的アプローチ、設計的アプローチに加えて創造的アプローチというものがある。
 設計的アプローチが目的的、論理的であるのに対して、理想とする姿をアイデアで創り上げていこうというのが創造的アプローチである。あくまでもアイデアが中心であるので良いものができる時は、とてもすばらしいものができるが、アイデアの実現性や、改善案としての効果という点から考えると必ずしも確率が高い方法とは言えない。
 このような3つのアプローチがあるわけだが、よくよく考えてみると、この3つのアプローチは、互いに相反するものではなく、一連の流れの中で相互に関連しながら使っていくと便利であることが分かる。
 例えば、全体のフレームは、設計的アプローチであっても、現状を把握する時には、分析的アプローチを用いる。理想とする姿を描く時に、基本的には、設計的アプローチでいくが、理想とする姿のヒントは、創造的アプローチを用いてヒントを出す。あるいは、理想と現状とのギャップを解消するためのアイデアは創造的アプローチを用いるが具体的な改善案にまとめあげるのには設計的アプローチと分析的アプローチを合わせて用いる、という具合である。
 それぞれの特徴をよく知り、目的や状況に応じてそれらを上手く使いこなすことが重要である。

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