ABC分析 特性を理解し、正しく使おう

◆パレート図  イタリアの経済学者パレート(Vilfredo Federico Damaso Pareto 1848-1923)が富の分布を知るため、富の多い順に並べて累計線とともにグラフ化したのパレート図である。富の分布が平等であれば、累計線は人数に比例して増える直線になるが、実際の累計線ははじめ急に増え、その後増え方が緩やかになる曲線を描く。この直線と曲線の差が富の偏りであると説明した。
◆ABC分析  パレート図を使って、「量」という特性によってグルーピング(層別)し、管理しやすくするために用いられるようになった手法がABC分析である。ABC分析という名は、メーカーが種類の多い部品の在庫管理を効率的に行うため、使用量によってA(0~80%)、B(80~95%)、C(95%~)とグループ分けしたことによるものである(ABC分析例)。使用量の多いAグループは発注頻度・発注量とも多くし、倉庫では出し入れしやすい入口付近、使用量が中くらいのBグループは発注頻度・発注量とも中くらいにし、倉庫の中間、使用量が少ないCグループは発注に手間をかけないように発注量を増やして発注頻度を減らし、倉庫の一番奥に配置するようにした。
小売業では20%のアイテムで80%の売上をつくる20:80の法則として説明されていたが、現在はアイテム数が多いこともあって、20%のアイテムで40~50%の売上というようにそこまで集中していない。
小売業では、POSデータによってアイテムをカットするために使う手法として定着しているが、本来は「量」という特性に注目して、数多くある対象を「層別(特性によりタイプごとに分ける)」し、管理しやすくするため(タイプに適した管理手法を当てはめる)の手法であることを理解して使うべきである。
特にPOSデータは販売データしかわからないため、フェイス数が1:100、在庫数も5:500という状況で、販売数量が5:10なら10の方が大きいという判断しかできない。商品回転率(数量と金額では商品回転率が違う)、スペース効率、荒利貢献(相乗積)など、特に効率を見る評価軸が漏れることが多いので、判断を間違うことがある(or多い)。
また、用途機能があまり一般的でなく、もともと販売数量が少ない商品(品揃えとして扱うことは有効)と類似する売れ筋アイテムに売上が集中するために販売数量が少ない商品(類似商品であるからほとんど意味がない)という2つの意味が異なる商品についても、単に販売数量だけを比べていたのでは明確に識別することができない。前者は品揃えの幅を広げるので取り扱う意味はあるが、後者は単に類似アイテムが多いというだけでしかない。
単純に数量の大小だけで比較することは危険である。本来的な意味、数量の単純比較以外の評価の仕方など、様々な視点を理解した上でABC分析を使うべきである。
ノコギリがクギを打つのに向いていないように、手法にも目的、向き不向き、できることの限界がある。

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