全国に820万個(平成25年)あるという空き家であるが、内訳は賃貸用の住宅430万戸(52.4%)、売却用の住宅31万戸(3.8%)、共同住宅71万戸(8.7%)、二次的住宅41万戸(5.0%)などであり、いわゆる個人所有の一戸建ては181万戸(23.9%)である。
「全国に空家が820万個もあるから大変だ!」と言ってしまうと、確かに5000万世帯しかないのに820万戸(空き家率13.5%)も空き家があるのでは、7~8軒に一軒の割で空き家があることになる。それはそれで問題であることは確かだが、何がどう問題なのかということになると、中身によって随分と状況は変わってくる。
何を問題とするのか、という点が非常に重要であり、最も軒数の多い賃貸用の住宅430万戸(52.4%)を対象として考えるのと個人所有の一戸建て181万戸(23.9%)を対象として考えるのでは、問題の性質も対処方法も大きく変わってくる。
ただ、いずれにせよ言えることは、全国にこれだけの軒数がある空き家について、所在する自治体が、しかも個別に対処するのには限界がある。全国とまでいかなくてもよいが、システム的な対処法を採用しない限り、効率良く、実効の上がる対処は不可能だろう。
Webを使ってデータベース化する動きもあるが、あくまでも情報を整理するという第一段階までであり、そこから先は実態を修正する具体的なシステムが必要になる。
現在、ある地方自治体に「中長期の滞在型セカンドライフ(トライアル)」という形で提案しているが、KitchHike(https://ja.kitchhike.com/ 海外からの旅行者に日本の家庭料理を体験してもらうor日本人に日本在住の外国人宅で家庭料理を体験してもらうマッチング)のような形で、地域の生活、あるいは地域の産業、伝統工芸などを滞在型で経験してもらい、場合によっては移住のトライアルの場としても活用する。その際に空き家を活用するという形である。
いずれにせよ、システムとして空き家活用を考えない限り、まとまった量への対応は難しいし、一つのプロトタイプができあがれば、同様のシステムで別の内容への応用やエリアフランチャイズなどへの展開も可能になる。
量がまとまることで「具体的な対処」の事例が増え、ノウハウが蓄積し、システムの確率もしやすくなる。さらに事業としてのボリュームが大きくなれば資金的な余裕もできるから、地域の雇用、地域の活性化など様々な形で相乗効果が見込める。
実態を動かすには、Webの世界を抜け出さなければならないから、コンビニエンスストアが採用しているようなフランチャイズシステムが有効である。
今後は、飲食や小売だけではなく、農業、水産業、自治体が関与するまち興しビジネスなど、様々な分野でフランチャイズシステムが活用されるべきだろう。
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