ユニットコントロールの偉大なる誤訳「単品管理」

 小売業界に限ってみれば、「単品管理」というと誰でも知っている言葉だろう。ただし、「単品管理って具体的にどんなこと?」と聞いて答えられる人は何人いるだろうか?
 面白いのは、単品管理という言葉は知っていても、改めてその元になる言葉が何なのかということになると、あまり知られていない。
 単品管理をその筋の辞書で引いてみるとunit controlと出てくる。
 まさに???…..と言ったところである。
 もともとユニットコントロール(unit control)はダラーコントロール(dollar control)に対する言葉であるはずであり、ダラーコントロールが、金額を単位として物事をコントロールすることに対し、ユニットコントロールは数量を単位として物事をコントロールすることということになる。
 店舗や部門の販売予算/実績管理には金額を用いるが、商品発注や在庫管理など具体的な業務の進捗管理は数量を単位として行う。少なくとも、店の発注担当者もバイヤーも、このTシャツを10万円発注するとか、今日は豆腐を2万円発注するなどとは言わないことを考えれば、数量を単位として多くの物事が動いていることは容易に理解できる。
 多くのケースでは、金額で予算/実績管理、商品を対象とした日常的な発注や在庫コントロールには数量管理を用いながら、数量単位と金額単位を相互に変換しながら整合性をとるという形で業務が行われるというのが一般である。
 多くの企業が「単品管理」という言葉に引きずられ、ある意味出来るはずもない膨大な量のSKU、或はアイテムの動向を追いかけることに振り回されているが、POSを含め、多くの投資をしている割に期待されたほどの成果は得られていない。
 うがった見方をすれば、先駆した企業が「単品管理で成功した」とマスコミにリークし、多くの企業ができもしないことに四苦八苦している間に、その企業だけ涼しい顔をして独り旅…というようにとらえられないこともない。
 おそらく、ユニットコントロール(数量による管理)を単品管理などと訳しているのは、産業界広しと言えども小売業だけだろう。
 歴史的に見ても偉大なる誤訳と言わざるを得ない。
 物事の基本を考えれば、数量と金額、この間の整合性をとりながら計画-実施-評価-修正を繰り返しながら精度を高めていくというのが、いたって自然な流れである。
 SKUやアイテムを追いかけるだけではなく、状況によっては商品群やライン、クラスといったもっと大きな単位を数量ベースで抑えることもあるわけだから、変に言葉に縛られず、基本を理解した上で原理原則に基づいていくのが一番である。

 

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