「ものの特性」には物理的特性,化学的特性など個体特有のもののほかに製造上の特性,販売上の特性,使用上の特性など様々なものがある。ただし、数多くある特性の中でマネジメント上重要となる特性は限られる。
効果的なマネジメントを実現するには、この特性を特定すればよい。このような特性をクラシフィケーション(classification)と呼び,クラシフィケーションによってまとめられたマネジメント上有効な単位をマネジメント・ユニット(management unit)と呼ぶ。
マネジメント・ユニットはマネジメントの目的に応じて変わる。例えば製造段階で納期、加工工程などでくくられていたものが流通段階ではサイズや重量,販売段階ではデザインや色,価格、機能というように変化する。
マネジメント・ユニットは共通,もしくは類似の特性をもつことから、その特性に応じたマネジメント方式の採用が有効であり,このことにより,より状況に適した多次元的で効果的なマネジメントが可能になる。
この一連の過程は,「個別の事象について観察もしくは測定し,共通,もしくは類似の特性によりグルーピング,モデル化を図って、その仕組や法則性を見出す」という,まさに科学的方法そのものである。
マネジメント・ユニットの設定,マネジメント方式の採用とともに対象となる「ものの特性」により主体となる組織も影響を受ける。目的となる対象のもつ特性により、業務が影響,もしくは制約を受けるため、組織もまた対応せざるを得ない。したがって,「ものの特性」,マネジメント・ユニット,マネジメント方式に対応した形で業務/組織もまた形成される。また,これらの運用,マネジメントを行う上で必要となる情報もマネジメント・ユニット,クラシフィケーションを単位として設定される。特に数値情報は項目,単位,期間から構成されており,その単位がマネジメントの単位とリンクしていなければ全く意味をなさない。
このように「ものの特性」によりマネジメント・ユニットを明らかにし,その特性に適したマネジメント方式の採用,業務/組織の形成,それらとリンクした情報により,はじめて効果的なマネジメントの実現が可能となる。
本来,「分類」には単に分けるのみではなく,ある基軸に基づいて全体を秩序正しく整理するという意味がある。したがって,クラシフィケーション理論を用いることは個々の状況を多次元的に見るとともに全体の体系づけ,バランス回復をすることにもなる。
これらのことからクラシフィケーション理論はマネジメントの重要なポジションにあり,マネジメントの具体的な概念、方法として位置づけることができる。
クラシフィケーション理論はビッグデータの活用を効果的、かつ効率的に行う上でも重要な概念、方法であり、コード化を含めたさらなる研究が必要になる。
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