相乗積と交叉比率

「相乗積は?」と訊くと「荒利率×売上構成比」という答えが返ってくる。「意味は?」と訊くと「???」とほとんどの人が理解していない。算数と同じで公式だけを丸暗記する教育の弊害である。クエスチョニング思考であれば、まず「荒利率×売上構成比」という式を絵に描いてみる、あるいは式を展開する。
例えばA商品、B商品、C商品という3つの商品があるとする。A商品の相乗積は(A荒利率=A荒利高÷A売上高)×(A売上構成比=A売上高÷売上高合計)であるから、分母と分子にあるA売上高が消えて、残るのはA粗利高÷売上高合計、つまりA商品が稼ぎ出す粗利高が売上合計に占める割合=全体に対する利益の貢献度合いということになる。
公式を覚えただけでは忘れてしまえばそれで終わるが、図表「相乗積の意味」に示すように絵を描いてみれば、やっていることがA商品、B商品、C商品のそれぞれについて荒利高を計算して足しているだけということが理解できる。意味が解れば例え公式を忘れても導くことができる。
交叉比率も全く同じようにして「荒利率×商品回転率」という式を展開すれば(荒利高÷売上高)×(売上高÷在庫高)となって、分子と分母にある売上高が消えるから、荒利高÷在庫高(投資と見る)となり、投資した在庫の何倍の荒利高を稼ぎ出しているかを求めていることが分かる。ちなみに商品回転率は在庫高(投資と見る)の何倍の売上高を上げているかである。
単に式を覚えただけでは、テスト問題は解けるかもしれないが、忘れてしまえばそれまでである。まして意味が理解できていなければ、使いこなすことなどできはしない。
どうせ同じ時間をかけるのであれば、実のあることをする方がよいに決まっている。
「クエスチョニングのすすめである」

★参考 相乗積と交叉比率を使いこなす

粗利率以外の相乗積計算

Excelで相乗積のシミュレーション

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