働き方改革 ???

新型コロナウィルスの影響からテレワークが注目されている。働き方改革が注目されていたこともあり、これを機会に一気に仕事のやり方が大きく変わるのではという期待もある。ただし、専門家の見方は一時的な避難で終わるのではと、なかなか厳しい。
もともと働き方改革なるものが政府の肝いりでスタートしたこと自体に無理がある。
仕事の仕組み、やり方そのものが変わっていない現状を無視して残業をなくし、休みを取れというから、現場の混乱、聞こえてくる悲鳴は多い。
残業がダメなら家に持ち帰ってやるしかない。有休をとるといって家に持ち帰って仕事をやれば残業代が減る。単なる労働強化でしかないから現場への皺寄せは計り知れない。ブラックな状態が水面下に潜って固定化されればサービス残業よりもひどい状況が起こる。
そもそも仕事といってもルーチン業務から個別対応まである。機械的な処理が可能な定型業務・手続きから、個々の状況に応じて検討し、いろいろと調整しながらつくり上げなければならない仕事まで様々である。
また、同じ部署、同じ名前の業務をやっていても、人によって考え方、優先順位、仕事の手順・やり方が違うから、同じ課題に取り組んでいても結果に行き着くまでのプロセス、工数、アウトプットのレベル・精度などは違う。
自分でコントロールできる仕事もあれば、相手次第でコントロール不能な仕事もある。
もっとも重要な点を無視して、枠組みだけを提示してどうにかしろというのは、いかにもお役所的発想である。
テレビで専門家が「日本の商習慣」の問題を指摘していたが、そればかりでなく、それまで個々人がやりたいようにしかやってこなかった=言い換えれば、まったく標準化されることなく、個人の好き嫌い、得手不得手、慣習などに任されて放任、放置されてきた業務プロセス、やり方、手法などに全く手を付けないまま、枠組みだけをどうにか取り繕うことには、根本的に無理がある。
さらにPCが当たり前の時代になって完全に個々人の業務の手順、進め方、意思決定の仕方がブラックボックス化している状況を考えれば、業務の定義=目的・アウトプット・精度など、業務処理の論理から始まる一連のプロセスを整理しなければ働き方改革なるものの実現は難しい。
そもそも「業務とは何か」という最も基本的な定義が整理できていないケースは多い。
ゴール(目標・方針・アウトプット・精度など)が明確になっていないケースやプロセス・手法などが明確になっていないケースでは個々人の志向、能力、スキルレベルなどに応じてあらゆるモノ・コトがバラけてしまう。
もともと業務自体は目的に対して手段が体系的に位置づけられ、それらが組織に対して割りつけられるという形で体系化されるべきものである。
個々の手続きは、目標に対して情報収集、分析、総合(検討)、評価(基準)、決定(判定基準)、文書化というプロセスを経る。
身近な例が、ある目的に対する情報収集やデータ分析だろう。目的に応じてどんな情報、どんなデータが必要で、それらはどこから入手するか、…などは、たとえ定型的な業務であっても、経験や能力によって変わってしまう。
Excelによるデータ分析一つとっても、どんなデータを用い、どんな加工をして、どんな見方をすれば、状況がよく分かるのか、データ分析に関する経験やスキルレベルで結果は大きく変わる。しかも同じアウトプットを出すのにExcelの処理方法は複数あるから、スキルが高い人と低い人では時間や手間に上下何十倍もの大きな差ができた上に結果や精度にまで影響してくる。スキルレベルの違いが大きく影響する。
分析ばかりでなく、企画の立案などクリエイティブな仕事についてもまったく同様であり、引き出しの多さ、システム的な思考の違いは如何ともしがたい。
特にモジュール化(ブロック玩具のように個々の要素を標準化し、それらを組み合わせることで様々な形をつくり上げる)を前提とする場合と、ゼロから全てをつくり上げるのでは手間、時間の違いは桁違いである。

多くの業務がブラックボックス化している現状を考えると、働き方改革とはいってみても、個々人の仕事のやり方、判断の仕方まで踏み込んで整理することがないまま枠組みに無理やりはめ込んでつじつまを合わせてしまうことになる。
業務コンサルの現場では、使用するフォーマット(使用する情報やデータを指定)や使用データ、処理手続き、見方・検討の仕方など一連の意思決定プロセスに関係する手順と手続きを整理する。
実態の把握をするために、現状使っているフォーマットを集め、手続きの仕方を確認することもあるが、組織内で行われている重複(多くの人が同じ情報収集やデータ分析を重複してやっている)や無意味な手続きを確認する。
多くの場合、個々の業務を現状分析し、改善するよりは、モデルとなる業務システムを当てはめて全てをモデルに合わせてもらうところからスタートした方が明らかに早い。
処理手続きを標準的なものに限定し、そこでのデータ処理にはExcelなどの標準フォーマット(いわゆる計算図表)を設定して配布する。そうすることで使用するデータも標準化でき、ほとんどの処理作業がコピペで済むことになる。
イレギュラーについては、別枠で対応し、必要に応じて標準的なシステムを修正してそれを標準モデルとすればよい。
とりあえず、標準的なこと以外はやらないようにすれば、すべてが単純化できるし、データ処理もExcelなどの標準フォーマットへのデータのコピペで結果を導くことができる。データの読み方もマニュアル化すれば、個々に考えて判断する必要がなくなるから短時間で済み、精度も安定する。
実は個々に教育をするよりは、全員に標準的な仕組みを踏襲させるようにした方が全体のレベルを上げるのに早いだけでなく、一度に多くの人を一定レベルにまで引き上げる教育効果もある。
本質は業務システムに関する設計思想であり、個々の能力、特性を生かそうとするのであれば、いかに無駄な作業を省いて簡素化するかである。もちろん、情報システムのレベル、精度も重要であるが、それも業務全体に対する設計思想で決まる。
人の能力や機械の性能が企業の財産であることを考えれば、それらを生かすも殺すも設計思想次第である。
働き方改革をきっかけにいま一度根本から見直すことも必要だろう。

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