2019国際ロボット展に行ってきた。前進はしてるけど、でもチョッと残念⁉

12月18日、2019国際ロボット展に行ってきた。
目的は毎回同じで、次のステージをリードするような新しい思想の発見である。
別項でも書いているように、産業用ロボットはセンサー、アタッチメント、動作の精度が高まれば、様々なことができるようになる。
特に柔らかなものや、様々な形状のものが取り扱えることは非常に重要である。
今回も物流、加工・組み立ての分野で、様々な形状のもの、様々な素材・硬さのものを、しかも混在していてもAIを使って上手く扱えるような機械が数多く出品されていた。
特にECで大きく膨らんだ物流センターの自動化には大いに役立つことだろう。

ただし、筆者の主目的はいささか違っている。
ロボットがAIとつながって動きの精度が高まってくれば、人間とは異なるロボット特有の精度やスピード、動き方ができるはずである。
そこで加工・組み立て作業などの対象となる製品の問題が出てくる。
もともと製品は人間が加工・組み立てしやすいような形でパーツ・ユニットが作られ、接合方法、加工・組み立て工程も人間の身体、動きに合わせたものになっている。
従来、ロボットの動きも人間のそれを忠実に守って自動化するように設計されてきた。
理由は製品設計、構造、加工組み立て工程が基本的に人間のそれを基準とし、人間の代わりとして機械化・自動化・ロボット化が行われてきたからである。
そこで大きな疑問である。
人間とロボットと比べてロボットの方がセンサー、動作などが速く正確でしかも自由であれば、人間とは全く異なる加工・組み立ての仕方が可能なはずである。
そう考えれば、従来の人間を前提にした製品設計とは異なるロボットの性能を前提とした製品設計が出てきてもいいのではないかという疑問である。
このことが知りたくて展示会に足を運ぶがなかなか答えは見つからない。
ロボットによる製造と目的物である製品と人間による製造と製品の関係とは異なるのではないかという疑問はなかなか相手にしてもらえない。
チョッと残念。

もう一つ、技術オリエンテッド、シーズ発想が強いために残念なことがいくつかあった。
例えば、物流センターでお菓子など様々な形状の商品を店舗ごとにピッキングするデモンストレーションがいくつか見られたが、ロボットというハード面ばかりが強調され、検品や店頭での品出しといった後工程と結びつけるシステム面が空白になっていたことである。(機械の差はなかなか見えづらいが、システム面で差を出せば誰から見てもわかりやすい)
40年も昔のイトーヨーカ堂では、1枚の納品伝票に一つの中分類とし、納品伝票と商品が入る段ボール箱を一致するようにして納品させていた。
理由は、検品のしやすさはもちろんだが、特に店頭での品出しに際して、中分類でまとめることで、アチコチの通路の商品が同じ段ボール箱に入ることを避け、移動せずに品出しができるようにという配慮である。
(学)産業能率大学に移って以降もコンサルティングで大手企業の状況を見ているが、40年経った今でもこのような仕組みができていない企業は多い。

また、別のブースではカキの養殖に使うホタテの貝殻に穴をあける機械を紹介していたが、ごつい機械が周囲を囲うフードを大きな音を立てて揺らしながら動いていた。
非常に多くの貝殻を物凄いスピードで処理をするためにこのような形になると言っていたが、はなはだ疑問である。
左右に早い動きを繰り返しているのは、クルマでいえば急発進と急停車を繰り返していることになり、物凄いエネルギーのロスが生じる。
しかも1サイクルで1つしか処理できないからものすごいスピードでこの動作を繰り返す。ゴツく丈夫な機械が必要になる。
単純に考えれば、動きを直線の往復運動ではなく、曲線にすれば速い速度で動いてもエネルギーロスは少なくて済む。
アタッチメントも1つではなく、円盤状の形に複数のアタッチメントを取り付けて回転しながら貝殻を処理するようにすれば1サイクルでの処理数、時間、エネルギーのすべてが少なくて済む。
どこか、モノづくりの本質である設計思想、モノ・コトの原理原則を忘れているように感じてしまう。

いくつかのブースで話をさせてもらったが、とにかくクライアントの要求に対応するのが一番、とにかく言われたことを忠実に守ることが自分たちの使命といったニュアンスの答えしか聞けなかった。
ロボットは日本の得意技である分野だとは思うが、何かどこかが違っているように思えてならない。
ロボットという機械を作ることにおいてもそうであるが、全体の仕組みの中でどう生かすのかという「全体」の絵が上手く描けていないと、ただ精度の高い機械というだけで終わってしまうような気がする。
世界を相手に進化していくには大事なものが不足しているように感じるが、業界としてはどう対応するのだろうか?

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