テーマパーク型SM、アミューズメント型SMをつくろう!

■新しいニーズを創造する新しい形態の店を創ろう
足元商圏に住む固定的な客層の、日常の食事という固定的なニーズだけを対象としたままでは、人口減少・高齢化する、固定された商圏内で店舗を維持することは難しい。
お客にとっての店舗の意味・評価・来店理由は、自宅から近い・アクセスが良い、商品が安い、品質・鮮度が良い・美味しい、店がきれい・清潔・感じが良い、サービスが良い・接客が良い・スタッフが親切・感じが良い、品揃えが良い・何でも揃う、他店にはない商品・変わった商品がある、見ているだけでも面白い・楽しめる、…等々、色々と考えられる。
全ての商品が安ければよいというわけではないし、メーカーのショールームと見まがうばかりにたくさんの種類があればよいということでもない。
我々が直面する状況を冷静に判断すれば、従来の発想から転換し、「商圏を広げる」「対象とする客層・ニーズを広げる」というように戦略、ビジネスモデルの転換が必要になることは言うまでもない。
ここではテーマパーク型SM、あるいはアミューズメント型SMを提案したい。

■テーマパーク型SM、アミューズメント型SM
経済産業省の定義では、テーマパークとは、入場料をとり、特定の非日常的なテーマのもとに施設全体の環境づくりを行い、テーマに関連する常設かつ有料のアトラクション施設を有し、パレードやイベントなどを組み込んで、空間全体を演出する事業所 とある。
SMの常識からすれば、入場料や会費など何らかの形で料金徴収することには抵抗があるだろう。しかし、それに見合うだけの価値、クオリティが実現できれば別に問題があるとは思わないし、むしろその方が競合他社との大きな違い、優位性になるとさえ考えられる。
ユザワヤは会員価格という形で会費の意味を明確に示したし、かつての赤ちゃん本舗も卸と会員という名目で会費を徴収していた。コストコは4400円という高額な年会費にもかかわらず多くの消費者に支持されているし、それよりも高額なアマゾンは様々なサービスを提供することで、全世界1億人ともいわれるようにプライム会員を増やし続けている。
これらの例を見ても、入場料や年会費、施設・イベントへのチャージも、その価値、メリットさえ消費者が納得できるものであれば、返って有効な仕組みとなる。
問題はそれに見合った価値・クオリティを提供できるか=本当の意味での真剣勝負ができるかという一点につきるだろう。
これまで「食」に関する様々なテーマパークやメーカーのアンテナショップが作られているが、取り扱う商品、表現形態は違っても、それらの施設はほぼ同様な構成になっている。
大きくは、①白い恋人パーク、埼玉種畜牧場 サイボクガーデン緑のひろば、犬山市のお菓子の城のような複数の施設から構成される総合的なテーマパーク(小売で考えるとショッピングセンター)、②カップヌードルミュージアム、新潟せんべい王国、群馬県のこんにゃくパークのような単独テーマのテーマパーク(小売で考えると大型専門店)、③広島お好み村、ラーメン博物館、ナムコ・ナンジャタウン(ビルインで餃子・アイスクリームなど複合)、大阪たこ焼きミュージアムなどのような同一業種店舗を集めた形態(小売で考えると専門店ビルやカテゴリーキラー)、④地域の特産面・名産品の販売、…などであり、基本的にそこで行われている内容は次のようである。
 入場料やチャージは施設の性格によって有料・無料のどちらもあるが、ほぼ共通しているのが、同一業種の有名店舗の集約、工場見学・体験教室・オリジナル商品製作、商品に関する知識・歴史などの資料展示・解説、一般商品・限定商品販売、試食試飲・飲食、その他ゲーム・アトラクション・実演などである。

これらの施設は中・広域商圏を前提としているから、小商圏で成り立つ普通のSMからの転換は難しいようにも思えるが、重要なことは「商圏を広げる」「店のポジションを変える」という本来的目的と「現在の商圏を前提にすると成り立たない」というジレンマをどう克服するかである。
 多くの場合、「現状」が勝ってしまい一歩を踏み出せないから、いつまで経ってもほとんどの店が変われずに終わる。その分、変われる店は少なく、ブルーオーシャンへと進むことができる。
いずれにせよ、何のためにやるのかという目的からスタートしない限り、現状から抜け出すことはできない。
 最も簡単に現在のSMから転換できる形態を考えると、直営・コンセ・テナントなどによって畜産品だけを集めた店、海産物だけを集めた店、生花を含む農産品だけを集めた店、...というように、特定分野に特化したカテゴリーキラーを確立することだろう。
 例えば、畜産品のカテゴリーキラーであれば、豚肉専門店、牛肉専門店、鶏肉専門店、焼き肉用肉専門店、ステーキ用肉専門店、焼き鳥用肉専門店、ラム肉専門店などの他、ジビエ専門店(シカ・猪・クマなど)、ダチョウ・ワニ・ラクダ・ヤギ・カンガルー肉などの専門店、加工肉専門店、乳製品専門店、玉子専門店、昆虫食専門店、それに半調理品・調理済み品(惣菜)、調味料など周辺商品とイートインを加えて一つの建物の中にまとめ上げれば、日本に一軒しかないカテゴリーキラーが誕生する。
 もちろん、単に商品を集めただけの専門店の集合体では集客が限られるし、いずれ飽きられる。イベント・体験などSNSを用いたプロモーション・顧客の組織化、マスコミ対応など継続的に進化し続けることと発信し続けることが必要になる。従来のように、小ぢんまりとした世界で地味に商売をしているのと違い、お客にその良さ、楽しさ、珍しさなどを訴求し続けるプロデュース機能が必要になる。単なるカテゴリーキラーではなく、テーマパーク型SM、アミューズメント型SMである必要がある。
 商圏が広くとれ、しかも各店が畜産品、海産品、農産品、...というように専門特化し、棲み分けができれば、自社競合は起こらず、物流網を共有しながらECにも取り組める。しかも従来と比べてはるかに専門性が増すから、他社との差別化はもちろん、B2Bにも取り組みやすい。競争力のないSMを継続するよりは、いろいろな技術・ノウハウの蓄積も見込まれるから、将来を考えてもはるかにメリットは大きい。
 方向性が分かっていながら、なかなか一歩を踏み出そうとしないことは業界全体としての大きなリスクである。パイオニアの出現が望まれる。

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