データ分析は地図を見るのと同じ。

データ分析は複雑で難しいというイメージが強く、数字アレルギーというように数字を見ただけで拒絶反応を示す人は多い。
一方、なんでも細かければ細かい方が良い、高度だと錯覚を起こしている人もいるから、データ分析に時間ばかりをとられてしまうことも多い。
重要なことは、デー分析の目的である。
「分析は目的にならない」「分析からは何も生まれない」というのは古くから言われてきたことであるが、流通関係の有名なコンサルタントから「POSデータは細かく見ているのだが、なかなか成果が上がらない」と相談を受けたことがある。
人はたくさんのデータを長い時間かけていじくりまわすと多くの場合、達成感、満足感を得ることができるが、それで成果が得られることはない。
分析の目的は、問題点・問題構造を見出し、修正の精度を高めることであるから、いくらたくさんの細かなデータに時間をかけて目を通しても、あるいはたくさんの表やグラフに表すなどしても、実態が変わらない限り、成果が得られることはない。
目的までのプロセスを考えれば、データ収集、分析はほんの前準備の一部に過ぎず、そこから得られた問題点・問題構造など認識できた問題に対して仮説を立て、適切な修正行動をとることが必要になる。
さらに修正行動は仮説にすぎないから、修正後の実績データを確認し、必要に応じて修正するというところまでが本来の分析のサイクルと考えるべきだろう。

そこでデータと分析の問題である。
データ分析は地図づくりと地図を使う行為とよく似ている。
地図は精度を要求するから、データは正確である必要はあるが、地図を見るときは大枠でしか見ることはない。それと同じでデータ分析も、もとになるデータは正確である必要はあるが、それと同じレベルで細かくデータなどを見ていたら、データ全体から見えるはずの問題点も見えなくなってしまう。
データ分析には一定のパターンがあるから、目的に応じて見方も変える必要がある。
全く状況がわからない時には、目的に関係する部分を絞り込みたいから、ウエイトの高い重点分野を確認する、あるいはとりあえず仮説によってデータを整理し関係ない部分を外していく。
関係のある部分がわかれば、データの変化に影響する要因や変化の仕方のクセを見出す。
地図でいえば、例えば主要道路、幹線など行くのに関係する大枠を絞り込み、その道路の状況や万が一の時の代替案などをあらかじめ用意することになる。

目的によって地図も見方は変わるが、目的地へ行く道を見るだけであれば細かく見ることはしない。同様にデータ分析も仮説を立て修正案の精度を高めるのが目的であれば、問題のポイントと修正点を絞り込むのに必要なところだけがわかればよい。
データそのものの精度は必要だが、データが細かい、多い、分析時間が長いことが必ずしも成果に結びつくわけではない。
重要なことは、いかに簡潔に問題点を絞り込み、迅速、かつ精度の高い修正が行えるかである。
地図を使いこなすのには実際の道路事情が分かっていることが大切であるように、商品・売場のデータ分析も商品・売場の実態を知っていると見え方が変わってくる。
データ分析も机上だけでは見えないことが多い。
もともとのデータが現場にあることを考えれば、帰納法的な視点が重要である。

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