自動運転で地図の意味、要求される機能、要件が変わった

昔から地図は山、川、橋、海などの他、家や様々な施設の位置、道路などを正確に知るための道具というものであった。
要件は、構成要素とその位置関係が正確に記されていることだった。
我々は地図を見て、様々な所への行き方や距離、所要時間などの概要を知るというのが一般的であった。
したがって、地図の作成と使い方を例に、データの記録と分析など使い方の説明によく用いていた。
つくる時は、様々な構成要素間の位置関係が正確でないと、ある程度正しい判断ができないから困るが、使う時には、大枠で距離は5kmくらいとか、真っ直ぐ進んで2つ目の交差点を右に曲がるというように、大枠でとらえた方が分かりやすい。
つまり、つくる時と使う時に要求される精度が違うということになる。
つくる時は高い精度が求められ、正確に、使う時にはデフォルメした方が認識しやすいから精度を何レベルか落として、必要な情報を中心に絞り込む。
それでも地図を構成するのは、山、川、橋、海などの他、家や様々な施設、道路などの構成要素と二次元、三次元上の位置関係である。
カーナビが普及すると地図を構成する要素が新たに加わる。道路の交通標識=交通ルールなど、クルマが道路を通行する際に知っておくべき様々な決め事である。
一方通行、制限速度、右折レーンの有無、有料道路、インターチェンジ、…等々。地図を構成する山、川、橋、海などの他、家や様々な施設、道路とその位置関係と同等以上に道路を走る上で知っておくべき情報が数多くある。
それでもカーナビを見て人間が判断しているうちは、まだ判断の助けになればよいレベルでどうにかなる。
これが自動運転になるとそうはいかない。
明らかに地図に要求される機能、精度レベルなどの要件が大きく変わる。
地図というコンテンツの新しい発展、進化の可能性が大きく広がったようにも思える。
政府が地方創生用に開発したRESAS(地域経済分析システム)では、ビッグデータを活用して地図上に観光客の動きなどを表示することができるが、アイデア次第で様々なことを地図上に表現することができる。地図が単なる構成要素の位置関係を表すだけの単純な機能から、マーケットの空白を見つけたり、ビジネスチャンスを見つけ出すための道具として使えるようになったことが分かる。
自動運転では、技術的にどれだけ安全に運行できるかということを担保するためにAIが正しく判断するための精度を問題にしているが、事故が起こりやすい場所や危険を感じたことの多い場所という情報を加えて共通する要因を特定することができれば、より安全な道路、標識、信号などの設計に使える。
長距離を走る際の疲れを感じる場所・経過時間、眠気を感じる場所・経過時間などのデータ(人間が運転する場合・自動運転に乗車する場合 両方の場合に生じる生理的変化等)を用いることができれば、走り方そのものの設計、クルマの設計、休憩場所の設計など様々な形の対応が可能になる。
可能性のある、面白い世界がたくさん広がっている。
もちろん、気づかぬに落している分野もあるだろうが、あとは発想次第、創造性の問題で可能性が大きく広がる。そんな時代になったことにワクワクする。

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