システムを考える時、分散か集中かというという見方がある。
分散型は集中型と比べ、一つ一つに対する投資が軽微で済み、リスク分散できる。個別に設定するため、環境的な違いにも比較的柔軟に対応できる。
現在のようにチェーンストアが普及する以前は、百貨店と商店街を構成する生業店、専業店くらいしかなかったから、どちらかと言えば集中型といってよいのだろう。
それに対し、チェーンストアは百貨店のような大きな投資もせず、数多くの店舗を分散していろいろな都市やロードサイドなどに出店する。
一店舗当たりの投資が小さく、限られた資金でいろいろな立地、いろいろな規模・形態の店舗を出店することが可能であるから急激な環境変化などに対するリスク分散も可能になる。
バブル時代、ドーナッツ現象と言われるように土地の高騰から住宅が郊外へと広がり、それに伴って商業施設も郊外に拡大していった。その後、バブル崩壊とともに土地の価格が下がり、今度はアンパン現象と言われるように都心に人口、商業施設なども集中してきている。
現在の状況を考えると、集中と分散が複雑に入り組んでいる状況と見ることができる。
インターネット通販は、店舗のように分散することなく、一つのサイトで全国に対して販売でき、しかも商品ジャンルと関係なく販売することができるから集中型ということができる。ただし、一方ではインターネット環境さえ整備されていれば、どこに本社、サーバーを持ってもよいから必ずしも都心である必要はなく、地方を拠点とする分散型でも十分成り立つ。
情報システムに限定して考えると、向かっている方向はクラウドなど集中型ということができる。IoTという視点からも様々なモノ・コトを統合する巨大なシステムが想定されており、セキュリティ上の問題からも分散する膨大な数のデバイスを個々に管理することには無理があるということが理由である。
携帯電話の普及で一家に一台だった電話は個人が持つように変わったから集中から分散型に変わった。一方、インターネットの普及によって、携帯電話がスマホに替わったことで、電話、メール、インターネット、電子マネー・クレジットなど、あらゆる機能が集約した。
このような進化のプロセスから分かることは、分散型が成り立つのは個々を構成するデバイスが持つ機能の完成度合いが高い場合であり、自己完結できる場合にその可能性が高まっている。
そう考えると、チェーンストアが分散型でも成立するための条件は、インターネットなどをうまく活用することで自己完結できるように機能を集約することなのだろう。
ただ、限定された商品を扱っているだけの単機能では、いくら店舗を拡大し、取り扱い商品を増やしてみても限界がある。
スマホが進化することで、手帳も、時計も、地図も、ナビゲーターも、パソコンや財布さえも必要なくなってしまった。その分、スマホの存在価値は増し、必要不可欠な存在となっている。
チェーンストア、特に総合スーパー(GMS)などが生き残るヒントはこの辺にあるのだろう。
あとは、その本質が理解できるか否かにすべてがかかっている。
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