もったいない

 大学で非常勤として教え始めて20年以上経つが、「勉強=工夫の仕方」「思考・論理の組み立て方」「基礎知識・基礎学力」「人との接し方・組織の中でのポジションの取り方」など、最も基本的なことを身につけずに小中高12年間を過ごしてきたケースが少なくない。
 面白いことに、多くの学生が親や教師から「勉強しなさい」と言われたことがあっても「勉強とは何か」について説明されたことはないという。
 学生には「勉強=工夫すること」と定義し、工夫する際に有効と思われる手法、思考方法、論理の組み立て方などが身につくような実技中心の授業をしている。
 もともとコンサルティングが本業ということもあるが、問題の定義の仕方、問題解決の方法は、あらゆる場面で役に立つ。
 ちょっとした知識、思考法、手法を知るだけで能力が飛躍的に伸びる=本来持てる能力を発揮することは珍しくない。「化ける」と言うこともあるが、本来の姿を取り戻しただけである。
 これからの時代を考えると、人口減少・高齢化という我々が過ごしたよりはるかに難しい時代を生きていく必要がある。そう考えれば、少なくとも、社会に出る前にその準備ができるようにするのが我々の責務だろう。
 
 企業についても全く同様である。持てる能力を十分引き出すことができるか否かですべては大きく変わる。いろいろな企業を見てわかることは、企業には潜在的な能力とそれを十分生かすために明らかに不足している機能・能力(経営者の器もその一つ)があり、そのマッチングが上手くいっている企業はほとんどない。
 情報量は増え、進化の速度も早まっている。地球の裏側で起きたリーマンショックで、日本の公園に多くの失業者が溢れることを考えれば、人も企業も持てる能力を十分生かせる知恵と工夫、それが実現できる仕組みが必要である。
 「バカの壁」「無知の知」….等々、難しい話にしなくても、もっと単純に本来の能力が生かせないのは「もったいない」と考えればやるべきことはたくさんある。
 

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