チェーンストア、小売関連企業は2025年までの10年間に何をどう対処すればよいのか⁉

 2020年東京オリンピックが終わり、宴の後とも言える2025年までの10年の間に起こる出来事を整理すると次のようになる。
①2025年には団塊の世代約500万人全てが75歳(健康寿命)を超える。
②日本の人口は2015年より約600万人減って12060万人になる。
③生産年齢人口も2015年より約600万人減って7080万人になる。
④日本人の平均年齢は49.5歳、65歳以上人口は3660万人、30.3%となる。 
⑤世帯主が65歳以上の世帯は2015年より約130万世帯増えて2015万世帯、そのうち独世帯は約100万世帯増えて700万世帯となる。
⑥世帯主が75歳以上の世帯(再掲)は2015年よりも約300万世帯増えて1190万世帯、そのうち単独世帯は約120万世帯増えて450万世帯となる。
⑦2025年、女性の単独世帯に占める65歳以上の割合は50.9%となり、単独世帯は高齢者女性の代名詞となる。(男性は24.4%で女性の半分)
⑧市区町村を規模別にみると、2010年に対し2025年には1~100万人規模の市区町村が73減少し、5千~1万人が5、5千人未満が68増える。大きく減るのは5~10万人35、10~30万人14、3~5万人12であり、地方で産業を支える中~大規模の主要都市が大きく減少する。小売業の主要な立地も10年間に大きく減少する。

 何をどう準備すればよいのか?
 別項でCGP(チェーンストア・グローイング・パラドックス)というチェーンストアの法則について触れているが(*詳細は「何故、チェーンストアは成長を止めるのか?」同友館)、チェーンストアは成長期に向いた経営システムであり、売上低迷に対しては、これといった方策を持ち合わせていない。しかも、失われた20年の間にギリギリまで無理をしてコストを下げてきたので、これ以上、現在のビジネスモデルのままでコストを下げることは難しい。
 インバウンド消費で一息入れている企業も多いが、インバウンド景気に浮かれて「のど元過ぎれば...」という悪しき体質が顔をのぞかせては、抜本的な対策を後回しにするだけという結果になりかねない。
 ユトリのあるうちに、固定費を減らし、損益分岐点が低く生産性の高い(多くの付加価値を生み出す)ビジネスモデルに切り替える必要がある。
 そのためには
①単に物を売って差益をとるだけの商売をやめ、6次産業化を図る、物販周辺のサービスを取り込むなど、収益を上げる間口を大きく広げる。
②店舗のように物理的に商圏=マーケットサイズが限定されるビジネスから幅を広げ、ネット通販、ルートセールス、卸売り、ファブレス(工場を持たない製造業)など、一取引の額が大きく、商圏の制約を受けないようなビジネスモデルへ転換を図る(あるいは従来の小売とミックスする)。
③マーケットが縮小し、労働力の確保が難しくなれば、物理的に商品を扱うにはICTや自動化・ロボット化は絶対条件になる。セブン&アイHLDGS.のネットスーパー専用店舗のような自動物流倉庫型店舗や、かつて西友がつくったメカトロ店舗、IBM/メトロのフューチャーストア、あるいはコンビニエンスストアをさらにハイテク武装したAmazon Goのような店舗やサテライト店舗(宅配用デポ兼用)など、従来とは全く思想が異なる物流、デジタル技術などをベースに発想した業態開発が重要になる。
 これまで小売業が鮮度や接客を中心としたサービスのために、なかなか実現することができなかった労働装備率のアップが、生き残るために一気に進むことになれば、従来の常識、我々の想像をはるかに超えた、全く新しい商品流通の時代が始まることになるだろう。


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