マーチャンダイジング変革①

 平成23年国民健康・栄養調査によると、加齢に伴い腹囲 男性85cm以上、女性75cm以上(メタボリック症候群の基準は90cm以上)が、男性では30歳代で40%、40歳代で50%を超え、60歳代では60%を占める。女性は20歳代30%、30歳代には50%を超え、その後80%超まで増え続ける。
 男性は、肥満・標準体重に関わらず、加齢に伴って腹囲増加が目立つのに対し、女性は体重増加を伴う腹囲増加が起こる。ある調査データを基に男性の身長とチェストを固定し、ウエスト、ヒップ、腕付根囲、太腿囲の年齢変化を見ると、20歳代と70歳代の比較では、ウエストサイズが8~10cm、ヒップは1~3cm増え、腕付根囲はほぼ同じ、太腿囲は逆に3~4cm細くなる。
 服を選ぶ際、最も大きな部位でサイズを合わせるため、ウエストに合わせてスラックスを選んだ場合、高齢化するに従ってヒップも太腿も大きすぎることになる。
 一般に行われるグレーディングと加齢に伴う実際の体型変化の間にミスマッチが生じているため、高齢化するとフィットする服の入手が困難になる。体型に合う服、着られる服、着やすい服がない、という消費者の不満が生まれる構図である。
 女性の場合、男性ほど単純ではないが、男性と似たような傾向は確認できる。かなり古いデータではあるが、ある調査データを基に加齢に伴う各部位の身長比を指数化(各部位÷身長×100)してみた。20-24歳と60-65歳の比較ではウエストの指数増加が圧倒的に多く、バスト、ヒップはウエストの指数の約4割、太腿囲は微増にとどまっており、前述の男性の場合とよく似た結果となっている。
 「マーチャンダイジング」とかっこよく言ってみても、科学的でなければ消費者は満足しない。高齢化すれば衣料品への支出は確実に減る。マーチャンダイジングそのものの思想、手法を変えないと、生き残ることが難しくなる。

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