リスクマネジメント…?????

世の中、大変なことになっているが、こんな時にも「リスクマネジメント」という言葉が全く聞こえてこない。
ネットで調べるとリスクマネジメントと名の付く学界や協会もあるが、こんな時にもマスコミでは名前が聞かれないのは残念である。
何十年も前から団体や任意の資格をつくるなど動きはあったようだが、ネットを調べて出てくるのは、高額の通信研修の勧誘など怪しげな話ばかりである。

 本来、このような時にこそリスクマネジメントの本領発揮だと思うのだが、あまりにも範囲が広すぎて専門家が足りないのか、あるいは日本という国ではリスクマネジメントという概念に対して意識が弱いのか、枝葉末節の話ばかりで全体としてどのような思想、手法でプロジェクトマネジメントを行うのかという議論が見えてこない。
 元大阪府知事橋下徹氏が、自身の経験を踏まえて、このような状況が見えない場合は取り合えず最悪の場合を想定して多少大きく押さえておき、後になって状況が見えてきたら修正すればよいと言っていたが、医療ばかりでなく、外交、経済など総合的にマップを書いてバランスを見ながらシナリオづくりをしていくような手法が見えてこない。
 国会もへ理屈ばかりで危機的状況とは思えないやり取りに終始しているから、いつまで経っても実効が上がる結論が出せないでいる
 そもそもこんな非常時に根拠を示せ、説明しろということが平気で言えるセンスは国を滅ぼしかねない。「2番じゃダメですか!」はこんな緊急時にも発揮されてしまった。
 いまさら、後手後手に回っている、根拠を示せといっても何の解決にもならず、むしろ対応する動きを停止させ、すべてが前に進めずに状況を悪化させるばかりである。
 緊急時に的確な指示のもとに動けない現場は困るし、イライラするどころか諦めの境地にある。
 現状を見れば公衆衛生と医療現場の基準の違いが混乱を引き起こしている。オリンピックや外交、強いては経済などとは異なる価値観が支配するからいつまで経っても全体像が見えてこない。
 盛んに指摘されているように海外に対するアピール不足も相対的に状況を悪化させている。全て揃ってワンセットという理解がないのは致命的である。

 いずれにせよ、リスクマネジメントという概念が机上論だけで終わっていては、本当の危機的状況には対処できない。
 実務レベルでの体系的な具体論と技術者などからなる実行組織、そして何よりもこのような事態に際して全体を統括し、マネージできるプロフェッショナルな頭脳集団が必要である。
 大きな組織はいらない。必要なことは専門家に聞けばよいから個々の詳細な専門知識も不要である。
 本当の意味で必要なのは、様々な情報を総合的にまとめ上げて、全体としてのリスクやチャンスなど様々な可能性を整理してシナリオをつくり上げることができるプロフェッショナルな頭脳集団である。
 時間との勝負で重要なことは、時系列で個々の要素を把握、それらを総合し、様々な可能性、チャンスとリスクを想定したシナリオを時間軸に基づいて作成することである。
 意思決定者に分かりやすい資料を作成して提示し、説明、助言など、意思決定のサポートをすることも重要な仕事である。それとともに現場が的確に動けるためのマネジメントも必要になる。
 ある意味、表に立つ役者を動かすのは、裏で真剣勝負をする黒子であるが、それがバラバラ、あるいは不在であれば、意思決定者は専門ではない個々の情報、意見に振り回され、結論を出さなければならなくなる。
 典型的な例が意思決定、実行の遅れだし、400億円ともいわれるマスクだろう。

 現状を考えると、今の政府、官僚組織では緊急時には何事も意思決定できないし、実行できないことがよく分かる。それに加えて野党が机上論で足を引っ張るからさらに状況は悪化する。
 いまさら縦割り組織を嘆いてみても意味がない。
 そうであれば、政府に対して、全体像といろいろな可能性を基にしたシナリオを提示し、選択肢を提言できるプロフェッショナルな頭脳集団、政府が意思決定できるように状況を整理して的確に助言できるプロフェッショナルな頭脳集団を設置する必要である。
 平和ボケは怖い。   2020年3月5日

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