小売業 データ活用のキモ、商品分類表は何のためにある⁉️

■使えない商品分類表
小売業に限らず、商品を取り扱う企業であれば、必ず商品分類表なるものをもっているはずである。
筆者もバイヤー時代に商品分類表の修正をやったことがあるが、商品分類という言葉から、どうしても商品を細かく分けていってしまう。
素材、デザイン、色、ブランド、….等々。素材も綿、ウール、ポリエステル、ナイロンなど素材成分もあれば、糸の種類、生地の織り方、表面加工、染め方・プリントの仕方など細かく見ていけばきりがない。
デザイン、色に関しても同様であり、正確に分類しようとすればするほど細かくなっていく。
一方、商品分類には情報システム上、必ず単位とコードがある。
部門、ライン、クラス、あるいは大分類、中分類、小分類などであるが、単位の数の桁数に合わせて、それぞれ0~9の数値が割り当てられるために、通常、最大で1つの単位は10まで、2桁使える場合には100までの分類が可能になる。

すべての間違いは、細かく分ける、10、あるいは100まで分けられるというこの2つの条件を前提に商品分類表を作ることによって引き起こされる。

商品分類表は、仕入から販売までのデータをまとめる入れ物の役割を果たす。
売上、仕入、在庫、値入、値下、粗利、…..等々、様々な項目について数量、金額、率などを集計する際の単位となるから、現実問題として、データを分析する際の単位、言い換えると計画する際の単位がどのようなものであることが最も実態をよく表し、また作業しやすいか、データを扱いやすいかという「使い方=目的」を重要視する必要がある。
かつて、ある企業は2,3年ごとに商品分類を変えていたため、長い間、昨年比を正確にとらえることができなかった。
また、別のケースでは、あまりにも細かく分けすぎたために、それぞれの分類単位の占める比率が細かすぎ、また作業も煩雑なために、まともにデータを分析することができなかった。
商品分類表を見れば、ある程度その企業のデータ活用のレベル、さらには情報システム(活用)に関する理解度のレベル、情報システムの完成度(業務とのマッチング)を知ることができる。
重要なことは、どれだけ多額の投資をしたかという情報システムの金額ではなく、実際に業務の精度を高めるためにどれだけ使いやすいか、有効活用できるかという効率や貢献度合いである。
データばかりたくさん取れてしまう時代になったが、その割にはデータとは何か、どう使うのがよいのかという最も基本的なことに関する理解は今一つ進んでいないように思える。
デジタル分野は急激に進化したが、現実とデジタルが持つ能力をつなぐ人間の頭、思考技術はまだ周回遅れにある。20世紀の遺物である情報システムや思考回路が残って幅を利かせていることを考えれば、進化は当分の間、遅々として進まないのだろう。
上野陽一先生ではないが「こうしちゃおられん」という気分である。

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