販売計画&商品計画の立て方と在庫管理

◆営業計画&商品計画の立て方と在庫管理技術
1. 基本的な理解
1-1. 売上とは何か?粗利とは何か?
多くの場合,結果としての売上・粗利を重要視するが,それらをコントロールするまでにはなかなか行きつけない。売上・粗利はあくまでも結果であり,結果を確実なものにするためには,技術やノウハウと同時にそれを使いこなす知恵と地道な努力が必要である。
現在は,昨年実績を維持することが一つの目標になっている。中には,はじめから昨年実績割れの目標を設定するケースも珍しくない。しかし,はじめから低い目標を設定したのでは,それ以上の実績を挙げることは難しい。
そもそも『売上とは何か?』という明確な認識がなければ,売上をコントロールするという発想は持てないだろう。
売上は一つ一つの商品が売れた結果であるから,欠品すれば下がるし,売れない商品ばかりでも下がる。買上単価が下がっても下がるし,買上数量が減っても下がる。
売上が下がる理由は分かっても,さまざまな状況に応じて売上を上げる方法を探すことは意外と難しい。我々の仕事は,発注作業や補充作業ではなく,売上,利益を上げることである。売上低下を予防し,売上を上げる仕組みや方策を持つためには,まず売上がどのようにしてつくられるのか,という構造を理解する必要がある。
図表-1は,売上,粗利を目的として,どのような数値が関連しているのかを3つの側面から整理したものである。

(1)単位の分解と合成   店-部門-大分類―中分類-…
売上,粗利,在庫,…,何にでも使える方法である。もともと売上,粗利,在庫などの数値は一つ一つの商品が集まったものであるから,状況を詳しく知るには,逆に単位を細かく分けていけばよい。ある程度細かな単位まで販売計画をつくっておけば,計画とのズレが生じたとしても問題の発生個所を特定することは容易である。
ただし,何の工夫も戦略的発想もない,単純な昨年実績発想には問題がある。

図表-2は,筆者が開発したMPM(Merchandising Portfolio Management)と呼ぶ手法である。縦軸に売上伸び率,横軸に粗利率をとり,円は個々の部門の売上規模を表している。中央の太い線は,縦が店計の粗利率,横が店計の売上伸び率であり,全体を4つのエリアに区切っている。右上第Ⅰ象限は,売上伸び率,粗利率ともに店計よりも高い部門である。左上第Ⅱ象限は,店計よりも売上伸び率が高く,粗利率の低い部門。左下第Ⅲ象限は,売上伸び率,粗利率ともに店計よりも低い部門。右下第Ⅳ象限は,店計よりも売上伸び率が低く,粗利率の高い部門である。
MPMを見ると,売上規模,売上伸び率,粗利率のバラバラな部門が集まって店計の売上,粗利率ができ上がっていることがよくわかる。単位を一つ下げ,部門と中分類で作成してもまったく同様である。これが店計の売上や粗利率の構造である。
これだけ数値的にバラバラで,しかもそれぞれの状況や特性が異なる部門が一律に売上,粗利率を伸ばすことなどありえないということは容易に理解できるだろう。
もし,図表-2の店舗がこのまま推移すれば,粗利率の低い部門の(伸び率が高いために)売上構成比が上昇し,店計の粗利率を引き下げることは容易に想像できる。
個々の部門の状況を踏まえ,売上構成比を意図的に変える以外に店計の売上,粗利率を改善することはできない。売上,粗利率を変えることは売上構成比を変えること,と言い換えてもよいだろう。

(2)客数×客単価  客単価=買上単価×買上数量
客数はレジの清算件数,客単価は清算件数1件当りの平均買上金額である。客単価はさらに買上単価と一人当たりの買上点数に分けてとらえることができる。
図表-3は,買上単価や買上点数を上げるための具体的な方策を展開したものである。
この下のレベルまで落とし込むと具体的な業務が見えてくる。例えば,『バンドル販売を強化する』ためには,対象とする商品,価格,バンドル販売を始める時期などを決めることが必要になる。もしも,現在の業務がこれらの数値と関連なく行われていたとすれば,どんなに忙しい思いをしても数値に反映されることはない。
『買上単価』に影響するのは『商品構成』,『買上点数』に影響するのは『売り方』であるから,客単価は『商品構成』と『売り方』に関する工夫と努力の結果と見ることができる。
一方,客数は『絶対客数を増やす』ことと『リピート率を上げる』ことによって増やすことができる。『絶対客数』とは,店に買い物に来てレジを通過する人である。1万人の商圏人口のうち,自店で買い物をする人が2000人いれば,『絶対客数』は2000人である。
同じ人が繰り返し自店に来るのがリピート率である。例えば,2000人が1週間に1回自店で買い物をし,その内の1000人は週2回自店で買い物をする。さらに500人は週3回自店で買い物をし,100人は週4回自店で買い物をしたとする。1週間の客数は2000人+1000人+500人+100人=3600人となり,2000人の絶対客数が1週間に平均して1.8回買い物をしたことになる。これが『リピート率』である。
『絶対客数』は,立地条件,商圏人口,競合状況,店舗施設,駐車台数など企業・店舗ではコントロールしづらい要素とチラシ・販売促進など企業・店舗である程度コントロール可能な要素の組合せで決まる。
『リピート率』は,『また来たい』と思えるかどうかで決まるから,交通のアクセス,併設する施設,駐車場のとめやすさなど店舗施設としての利便性と店の雰囲気,商品構成・価格,買いやすさ,サービスなど『買い物する場』としての店の快適性,有用性などによって決まる。絶対客数よりもリピート率の方が店の工夫と努力で決まる要素が多いと考えてよいだろう。いずれにせよ,自店でコントロールできる項目とできない項目を明確にした上で,優先順位をつけて取り組む必要がある。

(3)売上,在庫,仕入れの関係
最も重要な項目であるが,残念なことにあまり馴染みがないのが『売上』『在庫』『仕入』の関係である。ここでは,売上とは何か,在庫とは何か,仕入とは何か,という最も基本的なことを中心に確認する。
『売上』『在庫』『仕入』に関する考え方には,大きく分けて2つある。
一つは,仕入れて売った結果,残ったのが在庫という考え方であり,もう一つは,売上をつくるために必要となる在庫を設定し,不足する商品を仕入れるという考え方である。
ここでは後者の考え方を採る。したがって,在庫は売上を上げるための手段であり,仕入は売上と在庫のバランスをとる調整機能を果たす。
例えば,100万円の売上を粗利率30%でつくるのと300万円の売上を粗利率15%でつくるのでは在庫の持ち方が変わる。目的である売上,粗利率が変われば手段である在庫が変わることになる。100万円の売上をつくるために300万円の在庫を持つ必要があったと仮定して,売上が計画よりも30万円低かった場合,計画通りに仕入を起こせば在庫は30万円オーバーする。逆に売上が30万円計画をオーバーした場合,計画通りに仕入を起こせば在庫は30万円不足する。このような売上の変化を『仕入を増減する』ことで吸収し,売上と在庫のバランスをとるのが仕入の役割である。

1-2. OTB(Open To Buy)  仕入による売上/在庫のバランス調整
(1) OTB(Open To Buy)
OTBは,通常仕入れ枠管理によって在庫管理をする手法として説明されることが多い。
しかし,実際に使ってみると仕入枠によって在庫管理をすると言うよりは,前項で説明したように『売上』『在庫』のバランスを『仕入』によって調整すると言った方が適している。OTBは,状況に応じて数量ベース,金額ベース,あるいはその両方で行う場合がある。
季節商品など販売数量の変動が大きく,販売数量に合わせて在庫数量をコントロールする必要があるような場合には数量ベースでとらえるとよい。売上ピーク時の欠品防止やピーク後の在庫の切り上げを上手く行うことができる。合わせて金額ベースでも押さえることができれば,さらに状況変化をとらえやすくなるだろう。
一方,店や部門など大きな単位を対象とする場合には,種々雑多な商品が混在するために数量ベースでとらえる意味はあまりない。予算管理と連動して数値を把握しやすいこともあり,金額ベースで行う。予算達成のため,売場運営がスムーズに行くように売上,在庫のバランスを仕入によってコントロールする。
図表-4(a)は, OTBの手順を示したものである。
『まず,はじめに売上計画ありき』である。在庫計画は売上計画を達成するためにどれだけの商品を持つ必要があるか,という観点から設定する。仕入計画は,あくまでも売上計画と在庫計画から算出される結果でしかない。
OTB計画の作成手順は,売上計画の立案,売上を達成するために必要となる在庫計画の立案,仕入計画(仕入枠)の算出,という手順で行なう。
実際には,図表-4(b)のように売上計画と実績がずれるので,それに合わせて仕入計画,在庫計画を修正する必要がある。仕入を計画通りに進めてしまうと在庫実績は売上計画と実績の差異に応じて増減する。
この差異は,計画を修正しない限り,事例のように累積して膨らみ,最後には取り返しがつかなくなる。事例では,売上実績が計画を大きく上回っているにもかかわらず,計画通りに仕入を行っている。結果として在庫実績は減り続け,最後には売上の低下を招くまでに減ってしまう。逆に,売上実績が計画を割り続けている場合には,仕入を計画通りに行えば,在庫は増え続けていくことになる。
売上実績が当初の計画と大きくずれ込んだ場合,単に仕入を増減させて在庫実績だけを計画と合わせてみても,売上と在庫のバランス=商品回転率を維持することはできない。仕入計画を修正するだけではなく,必要に応じて売上計画,在庫計画も売上実績を基にして修正する必要がある。
売上の計画/実績と同じ比率で在庫計画を増減すれば,商品回転率は当初計画と同じになる。算出した数値が売場スペースや売場作業などから考えて実際的であるか否かを判断し,実情に合うように修正して新たな在庫計画とする。
売上が計画以上に好調であれば在庫を増やすのは当然であるが,その場合商品回転率を当初より高めるように手を加えたり,逆の場合には,多少商品回転率は落ちるが在庫の減らし方を押さえたりする。これらの関係を整理したのが図表-4(c)である。
OTBを行う上で最も重要なことは, OTBの計画表をつくり,計画表に実績を記録していくことではない。売上と在庫のバランスが時間と共に変化していく様子を計画という基準と照らし合わせて確認し,実際の売場運営の中で売上と在庫のバランスを維持し続けるように絶えず調整していくことである。

 

 

(2)売上/在庫/仕入の関係とOTBによるバランスの調整
図表-4(d)は,時系列で変化する売上/在庫/仕入の関係を整理したものである。
当月(週)と翌月(週)の売上を比べた場合,当月(週)よりも翌月(週)の売上が➀高い(↗),➁同じ(→),➂低い(↘)の3つケースが考えられる。
それぞれのケースについて在庫の持ち方を考えると,➀売上が伸びるのであれば当月(週)初在庫よりも当月(週)末在庫を増やし,➁売上が変わらないのであれば当月(週)初在庫と当月(週)末在庫を同じに,➂売上が減るのであれば当月(週)初在庫よりも当月(週)末在庫を減らせばよい。
その時の売上と仕入の関係は,➀当月(週)初在庫よりも当月(週)末在庫を増やすのであれば,売上よりも仕入を増やし,➁当月(週)初在庫と当月(週)末在庫が同じであれば,売上と仕入を同じにし,➂当月(週)初在庫よりも当月(週)末在庫を減らすのであれば,売上よりも仕入を減らせばよい。
このように,売上の変化に応じて在庫を設定していけば自ずと仕入は決まってくる。
重要なことは,売上の変化をどのように想定するかであり,売上の変化に応じた在庫の持ち方をどのように設定するかである。

2. 営業計画/商品計画/売上管理・在庫管理・発注管理
図表-5は,営業計画(数値目標の設定)から商品計画,売場展開計画,作業計画という一連の計画手順を整理したものである。

2-1.営業計画(数値目標の設定)/商品計画
(1)営業計画(数値目標の設定)
基本的には,売上,粗利率をどのように設定するか,ということが最も重要な問題である。
図表-5では,一般的な方法として販売予算と直近の販売実績推移を参考にして決めていくように表示してあるが,必ずしも現状では適した方法とは言えないかも知れない。 昨年実績をベースにするのが,比較的オーソドックスな方法とも考えられるが,この方法も右肩上りの時代には有効であるが,現状のように昨年実績の維持が難しい時代には必ずしも適した方法とは言えないだろう。
昨年実績は,あくまでも昨年の商品構成,売場づくり,販促,売り方,競合状況などの結果であり,どれか一つでも条件が変わっていれば,その数値は違うものになっていたかも知れない。つまり,昨年実績は絶対的なものではなく,あくまでも一つの目安にしか過ぎない。売上目標の設定は,ある意味では決意表明であり,50%アップ,100%アップというように高い目標を設定することで従来とは全く違った発想で取り組むように切り替える必要があるだろう。実際に50%アップと言ってもそれによって在庫ばかりが増えてしまったのでは意味がない。きちんと企画・計画をつくることによって結果的に10~20%売上が伸びれば十分である。従来の目標設定であれば,決してそんな伸びを示すことは考えられないのだから,最終的な着地点を想定した上で目標を設定し,運営すればよい。

(2)営業計画(数値目標の設定)の細分化   商品計画へ
営業計画を細分化していくと具体的にいろいろなことが見えてくる。例えば,月次から週次へと落とし込むことで,どのくらいの金額をそれぞれの週につくらなければならないのか,という週ごとのウェイトが具体的に見えてくる。商品に落とし込むことで,どの商品をいつ,いくつ売らなければならないかということも見えてくる。商品と売らなければならない数量が見えてくれば,その為に必要となる展開場所や売場スペース,什器・備品,売場づくりや補充に要する作業量なども見えてくる。場合によっては,現在の企画で目標とするだけの販売数量を売ることができるかどうかという実現の可能性も具体的にイメージできるようになる。また,週単位で9~13週(2~3ヶ月)販売目標を並べてみると,週ごとに何をすればよいか,どのように仕掛けていったらよいか,という週ごとの役割,流れを掴むこともできるようになる。

(3)商品計画
商品計画については,具体的な定義もなく,企業や人によってとらえ方はマチマチである。ここでは①商品の売上構成が時系列でどのように変化するか,を計画したもの(売上だけではなく,在庫,仕入も加えOTBとする),②期間中の商品構成を計画したもの,の2つをもって商品計画と定義する。
① OTBを用いた時系列の商品販売計画
OTBの詳細については,1-2で説明しているのでここでは省くが,基本的な内容は,自店・自部門の売上構成を時系列で計画し,売上計画に応じて在庫計画,仕入計画を作成することである。商品計画の場合, OTBを行うベースは数量,あるいは数量,金額の両方である。少なくとも金額ベースでの商品計画は難しい。
重要なことは,売上の柱とする商品の取り扱いである。近年,柱とする商品のウェイトが徐々に低下しており,全体に与える影響が大きくなってきている。状況によっても異なるが,再度柱とすべき商品を組み立て直すか,第2,第3の商品を育成するしかない。
計画の中に次のステップにつながる実験的な要素を組み込んでいく必要があるだろう。

② C-Cマトリックス,C-Pマトリックスによる商品構成計画
C-Cマトリックス,C-PマトリックスのCはClassification(クラシフィケーション;商品特性),PはPrice-line(プライスライン;価格) の意味である。したがって,C-Cマトリックスは,素材×デザイン,デザイン×色のような商品特性同士のマトリックスであり,C-Pマトリックスは,価格と商品特性のマトリックスのことである。C-Cマトリックスは,主に価格要素の影響が少ない商品やC-Pマトリックスで検討する前に商品特性間のバランスを検討する場合に用いる。C-Pマトリックスは,商品特性の違いによるグレードと価格のバランスや同じ商品特性を持つ商品間の価格のバランスを見るのに用いる。
商品構成の『構成』という言葉には,もともと『いくつかの要素を組立てて全体を一つのまとまりあるものにつくり上げる』という意味があり, C-C, C-Pの2つのマトリックスを用いることで商品をバランスよくマトリックスの中に配置し,一つのまとまりあるものにつくり上げていく。その際に用いるのも売上比率である。
図表-6は,収納用品について作成したC-Cマトリックスである。表頭(横軸),表側(縦軸)のみ記入してあるので,商品構成の分析用,計画用,チェックリストとして使うことができる。チェックするポイントは,素材別の比率,機能別の比率,用いる場所別の比率などである。実際の売上データと配置するアイテム数,フェイス数などを比較してみることで,収納用品という商品群全体として適切な商品配置になっているかどうかを確認することができる。C-Cマトリックス,C-Pマトリックスの2つのマトリックスにより,商品構成計画を作成する。

2-2. 売上管理・在庫管理・発注管理
売上管理と在庫管理はこれまで説明してきたようにOTBを用いることで行うことが可能である。広い意味での発注管理=仕入管理もOTBで同時に行うことができる。
ここでは,まず発注全体について整理し,その中から固定フェイスで管理される定番商品の補充発注について簡単に説明する。
図表-7は,商品のさまざまなタイプと発注方法について整理したものである。
基本的には,売上の変動が少なく定番商品としてフェイス管理される商品と,売上の変動が比較的大きい商品とに分けて考えることができる。
前者がここで説明する補充発注型の商品であり,後者はOTBに向く商品である。
図表-8は,補充発注(ここで紹介するのは,一定間隔で必要な数量を発注する定期発注方式である。その他に在庫が一定数量まで減ったら発注するという発注点を決め,不定期に一定数量を発注する定量発注方式,常に一定間隔で一定数量を発注する定期定量発注などがある。)の基本的なパターンを整理したものである。
発注日から納品日までの期間をリードタイムと呼び,発注時点の在庫数量からリードタイム期間中の販売数量を予測し,納品時点に予測される在庫数量を算出する。
最大在庫数量と納品日時点の予測在庫数量の差が発注数量である。実際には,リードタイム期間中の販売数量は予測に対して上下にぶれることがある。予測よりも販売数量が少ない場合には,納品時点の在庫数量が最大在庫数量を超えるので次回の発注で調整する。一方,予測よりも多く売れた場合には,欠品を起こす可能性があるので,そのために安全在庫数量を設定する。安全在庫数量は余り多すぎると恒常的な在庫過剰となるため,商品売上のバラツキと商品の重要度合いを考慮して設定する。
商品売上のバラツキは,安全在庫数量を設定する上で重要な意味を持つ。例えば,過去20回のリードタイム期間中の販売数量が9~11個の間でバラつき,平均が10個の商品と1~20個までバラつき平均が10個の商品では平均が同じ10個であってもバラつき方が大きく異なるため,安全在庫数量の設定も全く異なる。厳密には別の計算式によって算出するが,単純にバラツキだけから考えると,前者は販売数量が安定しているため,発注時点で12個以上の在庫を持っていれば欠品することはほとんど考えられないが,後者では少なくとも21個以上の在庫が必要と考えられる。ただし,後者の場合のバラツキは1~20個であり,20個はいつ現れるか分からない。1個かも知れないし,20個かも知れないものを常に20個に合わせて準備するのでは在庫の持ち方にムダが出る。したがって,図表-9に示すような度数分布(いくつ売れたのが何回というように整理する)をとらえた上で,商品の重要度合いによって欠品させてもよい確率を設定し,安全在庫数量を算出する。20個が20回に1回の割合であれば,20個売れた時に欠品したとしても確率は5%である。

3.まとめ
消費者の加齢に伴うライフステージ(年齢による人生における位置づけ,社会的な地位,世帯構成など)の変化は消費構造(支出する費目の優先順位や金額)を大きく変えている。
一方,小売業は近代化,ローコストオペレーションの名のもとに『プロの商売人』であることを切り捨ててきた。売場は発注作業,補充作業,接客作業,レジ作業の場ではなく,お客と販売員が創り出す生きた商売の場=交感の場であることが本来の姿であろう。
『原点回帰』の重要性を再認識するとともに,商売をより確実なものにするためには,今回紹介したような基礎的な知識をはじめ,現状では必須となったIT(Information Technology情報技術)などさまざまな知識・技術・ノウハウを身につける必要がある。
さまざまな知識・技術・ノウハウを身につけ,計算もできるが計算以上のこともできる21世紀型の商売人がこれからの時代には必要である。

 

 

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